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正しい女たち

正しい女たち

正しい女たち

作家
千早茜
出版社
文藝春秋
発売日
2018-06-11
ISBN
9784163908533
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「正しい女たち」のおすすめレビュー

セックス、結婚、老い…話題にしにくい、でも知りたい「隣の女性の隠しごと」

『正しい女たち』(千早茜/文藝春秋)

 女子会にママ会と、女というのはいくつになっても集まっておしゃべりするのが大好きだ。仕事の話、美容やダイエットの話、好きな男性アイドルの話、そしてもちろん恋愛話と、話題は次から次へと尽きないものだが、とはいえリアルなセックスの話や、浮気や離婚など、あまりにもプライベートな暴露系はやんわり避けられるもの(もちろん話し相手との距離次第だが)。でも、この手の「話題にしにくいこと」こそ、実は最大の関心事だったりするものだ。

 千早茜さんの新刊『正しい女たち』(文藝春秋)は、そんな話題にしにくいことを「正しい姿」という共通のモチーフで鮮やかに描いた短編集。読んでいるうちに、まるで誰かの生活をそっと覗き見するような奇妙な感覚を覚える。

 たとえば「不倫」を描く「温室の友情」。大学までエスカレーター式の私立中学で出会って以来、ずっと一緒だった女ともだち・恵奈が不倫の泥沼でじわじわとバランスを崩していく。その姿を心配しながら、どこか苛立ちを覚える遼子。それは不倫そのものが倫理的に正しくないからではなく、大切な友人を(自分の)好ま…

2018/7/5

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正しい女たち / 感想・レビュー

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さてさて

連作短編の形式をとる三つの短編含め女性の強さを感じるこの作品。『正しくないセックスなんて窮屈で嫌だわ』という言葉の先に見る『正しさ』の感情。それはその人が生きていく中で決して曲げられない思いに由来するものでもありました。この作品では女性達がそれぞれの生き様の中で『正しい』と感じること、『正しい』と信じること、そして『正しい』と譲れないことを守り通していく力強い姿が描かれていました。価値観の一つでもある『正しい』という感情に光を当てたこの作品。とても読みやすい物語の中に千早さんの熱い思いを感じた作品でした。

2022/05/04

しんたろー

読友さんが興奮していたので千早茜さん初読み…6つの短編では女性の友情・恋愛感情・人生観などの本音が巧みに書き分けられ「へぇ、そうなんだ」とか「なるほどねぇ」と勉強になることが多かった。ただ、男性主役の話では作者の怨念とでも言えそうな想いがオーバーヒートしている感じがして頷けない部分もあり「君もそうでしょ?」と上から目線で聞かれている気さえする。タイトルも皮肉が込められている感じで、ストレートに表現すれば『正しいと思いたい男女』かな?食べ物に喩えるなら「美味しいけど、続けて食べたいとは思わないラーメン」。

2019/04/16

fwhd8325

千早さんの作品に感じる毒気のようなものが,個人的には好きなんです。この短編集にも,その魅力が散りばめられています。いい感じです。どれも正しい女なのでしょう。そうなんです,女とはそういうものなのでしょう。「偽物のセックス」「描かれた若さ」がツボでした。

2019/02/09

❁かな❁

千早さんらしい連作短編集。女ともだちとの関係や夫婦生活、不倫など人には言えない胸のうちをスリリングに描かれる。千早さんの繊細な心理描写がリアル。「海辺の先生」のみほのかな恋心って雰囲気で爽やか。「温室の友情」は、うわー!って思った。「幸福な離婚」は本当にこういうことありそうだなぁと思う。終わりに向けてゆっくり思い出を静かに作っていくのが切ないけど良かった。「桃のプライド」は痛々しい。千早さんの作品コンプリート!私は『あとかた』『からまる』『桜の首飾り』『魚神』『西洋菓子店〜』『人形たち〜』等の方が好み♪

2018/08/07

おしゃべりメガネ

やっぱり千早さんの描く女性は本当に奥が深いというか、男性読者からすると、なんとも言えない不思議な存在です。今作は6編からなる短編で、話によっては若干リンクするものもあります。女性間における探りあいな友情や少女から大人へと成長していくココロ、性への執着心や他者と比較しながら自分の優越感を確信したいプライドなど、本当に様々なオンナゴコロが輻輳します。スナックの客に勉強を教えてもらう母子家庭の話は読後感が良かったです。他の作品はいかにも千早さんらしい、陰のあるジメっとした作風で慣れがないとキツいかもしれません。

2018/07/15

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