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奇説無惨絵条々

奇説無惨絵条々

奇説無惨絵条々

作家
谷津矢車
出版社
文藝春秋
発売日
2019-02-27
ISBN
9784163909844
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奇説無惨絵条々 / 感想・レビュー

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ちょろこ

目を背けたくなるけれど、ひきこまれた一冊。古書店の店主から五篇の陰惨な戯作を渡される元絵師の幾次郎。 「なんというものを読ませるんですかい」という幾次郎の言葉に思わず木霊したくなるぐらいの無惨な話。深い色をたたえた瞳にはこれさえも極楽に映るのか、そして人の心の奥底の本心を映しだすのか、「雲州下屋敷〜」は背筋がゾクッとしながらも、この瞳に魅せられ一番ひきこまれた。事実と真実は別物、弱き人々のためのもの…「芝居」「物語」に対する清兵衛、黙阿弥の言葉がなんとも奥深い。かくあるべし!まさに言いたくなる。

2019/06/03

ままこ

演劇改良運動が行われている明治時代、歌舞伎専門誌に勤める元絵師の幾次郎が仕事の一環で古本屋“明治堂”で渡された本に目を通すが…。残忍で業が深く心の闇にゾッとする奇説5編の作中作。特に『雲州下屋敷の幽霊』は凄まじかった。幕間で語られた「事実と真実は別物」「人間には二種類ある」にはなる程。帯に〈京極夏彦氏喜ぶ!〉と書かれてあるが確かに喜びそうな作品だった。

2019/05/28

モルク

主人公の元絵師幾次郎が、古書店の店主より渡された戯作を読む。その5編の闇の世界にずるずると引き込まれていった。恐怖や残忍さはさほどではないが、理不尽な仕業そして湿った空気にまとわりつかれたような感覚がたまらない。予想以上に面白かった。全く「なんというものを読ませるんですかぃ」

2019/07/25

タイ子

なかなかにエグくて濃い物語集です。人気狂言作者に台本を書いてもらうため幾次郎が訪れる古本屋。店主の清兵衛から一冊づつ渡される本。読んでみるごとに様々な感情が沸いてくる幾次郎。それがこの5つの物語である。己の酒代のために娘を女衒に売った父親に復讐しようと帰ってきた娘が最後に見た父の姿は…。生きているだけで幸せという侍女が主人のどんな仕打ちにも臆せず、体に幽霊の入れ墨まで彫られる…など。どれも業とか、運命、宿命を背負った人間の姿をこれでもかと見せられる。タイトルは小難しそうだが、反して読み易くて面白いの一言。

2021/06/17

★Masako★

★★★+ 谷津さん初読み♪ 明治半ば、歌舞伎専門の新聞社に勤める元浮世絵師の幾次郎は、知り合いの古本屋から5冊の戯作を勧められ読んでみると…。この作品は、幕間+戯作を読むという入れ子構造。一冊読む毎に幕間で大きなため息をついた。どの話も残酷で哀しい。江戸時代を舞台に人の業の深さ、心の闇が薄ら寒く描かれ、まさに無惨絵のよう。特に引き込まれたのは「雲州下屋敷の幽霊」。生きがいを失った隠居の大殿が、生きる事に執着した娘を買ったことで狂っていく様は凄まじい。人ほど怖いものはない。改めて思わされた。【図書館本】

2019/07/28

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