センス・オブ・シェイム 恥の感覚
「センス・オブ・シェイム 恥の感覚」のおすすめレビュー
電車内で化粧、ブッフェでガツガツ食べる…「恥ずかしい」のボーダーラインはどこにある?
『センス・オブ・シェイム 恥の感覚』(酒井順子/文藝春秋)
「恥」をテーマに他者との関わり方について描くエッセイ集『センス・オブ・シェイム 恥の感覚』(酒井順子/文藝春秋)は、普段なかなか意識することがない恥の感覚について、一歩立ち止まって考える機会を与えてくれる。
恥の感覚が合う人同士は仲が深まりやすく、合わない場合はどこかで齟齬が生じやすいという。それは、たとえ夫婦間のように近い関係においても例外ではない。著者の友人のある女性は、ミュージカルが好きなことがきっかけで結婚したものの、恥の感覚差に悩んでいたそうだ。
「ブッフェのレストランとかに行くと、『元をとらなきゃ』とか言って、とにかくガツガツ食べる。その割に、最後には大量に残したりするのよ。その感覚が、本当に恥ずかしくてたまらないの」
自分のプライベートな生活をSNS上でどこまで公開できるかというボーダーラインも、「晒す」という表現がよく使われる通り、恥の感覚によって決まるところが大きい部類のトピックだろう。ニュースサイト「文春オンライン」で反響が大きかったという「中年とSNS」は、自分自慢の…
2019/9/5
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センス・オブ・シェイム 恥の感覚 / 感想・レビュー
ぶち
学生時代に読んだ『菊と刀』で私は"恥が自分の言動をコントロールしている"ことを改めて納得しました。宗教観や道徳観からではなく、恥ずかしいからやめよう、恥ずかしいからこうしよう、と行動していたことを理解したのです。その恥と思う感覚は人によっても時代によっても変わります。このエッセイで酒井さんは現代の人が感じる恥についてユーモアたっぷりに論じています。自分では恥ずかしい事と思わずにやってしまっていることの多さに愕然とします。"ナイス"の数の影に数倍の"ノー"があるという指摘を読むと、ウームと唸ってしまいます。
2020/01/10
あすなろ
恥に関しての酒井氏のエッセイ集。僕は酒井氏の社会の切り取り方が好きなのである。今回の恥の切り口は、見せている・見せない、並行移動・上下動の違い、高校3年生ラグビー男子の母親のお姫様抱っこ等、興味深く現代を違う気持ち高めの視座から考えた言葉で表現する世界を堪能。しかしながら、恥は歳と共に減っていくがそれがいいのか悪いのか…。どちらなんでしょうね。そうして最後はお棺の中で恥も思考もなく一切晒したまま隠しも一つもなく顔を晒すことになるのが私達。ナルホドなぁと思った次第。
2019/12/29
美登利
凄い、酒井さんここまでよく書いたなぁ。恥の感覚は似てるところもあるけれど、そこは違うなと思うところもしばしば。「恥ずかしい言葉」の章はよくぞ書いた!尊敬する。私はチョコとアイスは普通に使います。職場で30代中頃男性が自分の親のことを「お父さん、お母さんが〜」と言うのでこの人何なの?と感じてたのだけど、そういう意味合いがあってのことだったのか。うちの20代の息子たちは父が母がと言ってるけどね。←これこそ自慢ネタ(笑)
2019/11/23
よつば🍀
酒井さん、最新エッセイのテーマは『恥』身近に感じる内容とチョイチョイ挟まれた毒に何度も噴出しながらの読書時間だった。 「恥の感覚」「中年とSNS」「若者とSNS」「恥と集団」「恥ずかしい言葉」「より良く見せたい」「若さという恥」「感謝に照れない世代」「読んでいる本は」「善行を妨げるもの」「死に支度」など19篇収録。取り敢えず登録してあるfacebookだが、今後も恥の意識を持ちながら自慢と承認欲求の為の投稿は止めておこうと固く心に誓った次第。Instagramも然り。恥の概念を改めて感じる事が出来た1冊。
2019/08/27
sofia
酒井順子さんと同世代の私は「恥の感覚」という言葉に感動すら覚えた。なんかぞわぞわする違和感を見事に活字にしてくれた気持ち。好きなものが同じという価値観より「恥ずかしい」ことが同じという価値観が生きていくには大切である。テレビで元アスリートが「お父さん」を連呼していて恥ずかしくなったが、そんなものなのか…。
2019/12/05
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