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日本蒙昧前史

日本蒙昧前史

日本蒙昧前史

作家
磯崎憲一郎
出版社
文藝春秋
発売日
2020-06-26
ISBN
9784163912271
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日本蒙昧前史 / 感想・レビュー

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trazom

コンプラ研修では「差別語だから「蒙」という字は使ってはいけない」と教えられるのに、このタイトルは大胆だ。グリコ・森永事件、五つ子誕生、大阪万博、横井庄一さん生還など、1970年から80年代にかけて起きた数々の事件が回想されるが、視点はそれらの事件の背後にある社会の闇に当たっている。希望に満ちた時代に、すでに、メディアの傍若無人、拝金主義、虐げられた人への冷淡など、現代日本の蒙昧の前史があることが示される。登場人物が隠喩で貫かれること、読点ばかりの文章のリズムなど、この小説独特の雰囲気が、恐怖感を醸し出す。

2020/07/21

yyrn

戦後、人々の記憶に残る事件や出来事を次々と読点でつなげて延々と語り続ける文体は好き嫌いが分かれそうだが、私は十分楽しめた。社長が誘拐され、菓子に毒物が混入された「グリコ森永事件」、高度成長期の政治家の暗躍とキャバレー通いの醜聞、「五つ子誕生」で翻弄されるNHK社員の父親と家族、華やかな「大阪万国博覧会」の裏であった千里丘陵地買収の苦労と太陽の塔に籠城した若者の半生、戦後28年目にグアム島で見つかり帰国を果たした「元日本兵」の戦前戦中戦後の生きざま。その間に挟まれる三島由紀夫やスタルヒン、日航機墜落事故など

2020/09/28

それいゆ

グリコ・森永事件、五つ子ちゃん誕生、横井庄一さん帰国、どれも今も記憶に残っています。横井さんと小野田さんの印象が対照的でした。江崎社長、山下さんの五つ子は現在どうしているのでしょうかね?「あの人は今!」のようなTV番組で取り上げてほしいですね。と思い調べてみると、グリコは今になってやっと御曹司へ社長交代するみたいですね。今も現役社長だとは思ってもみませんでした。不協和音が漂っているそうですが?五つ子のお父さんは亡くなられたという情報を目にしましたが?五つ子の皆さんの現況も知りたいですね。

2020/07/19

niisun

日本が今の愚昧で暗愚な国に落ちていく様を“時の人”の目線で見つめた物語。誘拐された製菓会社の社長、角栄と対立した小柄な政治家、五つ子ちゃんの父、グアム島から生還した旧日本兵、大阪万博の目玉男。作者は1965~1985年頃を日本の蒙昧前史と捉え、盲目的な大衆に抵抗を見せた人達を描いている。“東京”を擬人化して、自ら東京の歴史を辿る奥泉光の『東京自叙伝』に似たようなテイスト。私が生まれた1972年は田中角栄が首相になり、沖縄が返還され、横井庄一氏がグアムで発見されるなど時代の変わり目だったのだと気づかされる。

2020/12/29

ぽてち

昭和40年生まれの著者が、少年時代から青年時代にかけて起きた社会的な出来事をまとめたドキュメンタリーノベル(?)。同じ時代を生きた者として興味深く読んだ。帰還兵・横井さん、鹿児島の五つ子ちゃん、グリコ森永事件など、マスコミの功罪を考えた。大阪万博の裏事情はまったく知らなかったのでおもしろかった。いい時代だったとは思わないが、令和の現在も本質は変わらない気がする。

2020/07/12

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