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げいさい

げいさい

げいさい

作家
会田誠
出版社
文藝春秋
発売日
2020-08-06
ISBN
9784163912424
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「げいさい」のおすすめレビュー

希代の美術家・会田誠と同世代の美大生・浪人生…「最低の夜」に何が起きたのか?

『げいさい』(会田誠/文藝春秋)

 国内外を問わず、会田誠ほど独自のポジションと作風を確立した美術家は珍しいだろう。代表作「あぜ道」が中学校の美術の教科書に載る一方、評者も観覧した「会田誠展:天才でごめんなさい」(2012年)では性暴力や児童ポルノを肯定する作品があるとして、市民団体から抗議を受けた。

 その後も何かと物議を醸す作品を創り続けている会田だが、それは彼の突出した個性に付随する「毒」のようなものだと思う。そんな会田誠の『げいさい』(文藝春秋)は、彼と同世代にあたる美大生の立身出世以前の「修業時代」を綴った青春群像小説である。

 本書の舞台は多摩美術大学の学園祭(以下芸祭)の夕方から夜にかけて。主人公は東京藝術大学(以下藝大)目指して浪人中の二朗だ。芸祭での酒宴を軸にしながらも、彼が藝大に合格する以前、美術予備校に通っていた頃のエピソードが度々挿入される。苦い想い出の詰まった当時の心境や状況を、会田が小説のスタイルを借りて吐露している。

 高校時代に美術教師に教えを乞うた二朗は、佐渡から上京して藝大を受験するが、1次試験であえなく不合格。そもそ…

2020/8/6

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げいさい / 感想・レビュー

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starbro

同郷で同い年しかも同じ10月生まれということで、会田 誠の著作を初めて読みました。げいさい(芸祭)が多摩美大芸術祭の略だとは思いませんでした。本書は著者初の私小説、芸大青春グラフティでした。素人作家の割には良く書けていますが、やはり絵筆の方が良いと思います。 https://books.bunshun.jp/articles/-/5859?ud_book

2020/10/21

buchipanda3

80年代半ば、美術予備校へ通う浪人生・二朗の青春記。芸大受験という背景、岐路に立つ主人公、芸祭のパフォーマンスの描写、さらに彼女だけ合格してるというあららな恋の行方と興味を惹きまくる青春もので面白く読めた。祭りの熱気からか友人の美大生や助手たちみんなが浪人生へ語りまくる。新旧の美術論から受験テクニックの弊害まで。受験用の描き方という感性より合理性が先に立つ現実。二朗が主観がぶれて戻れないあの場面は読むのがしんどかった。夢見のようで現実であった芸祭の特別な一夜。それを通過点だと作者は言う。確かにと合点した。

2020/10/11

みかん🍊

1986年多摩美の学園祭に予備校時代の友人に誘われ行った現在東京芸大を目指し2浪中の二郎の一夜の話、自身の芸術と受験の為の絵との乖離に悩み、芸術論、現代美術と社会について議論を交わす芸大の人々の中に翻弄されていく二郎という主人公を通して著者自らの過去を小説にした作品、86年と言う事で現代の美大の在り方も多少は変わってきていて、この頃の事情もすでに過去になっては来ているが、芸術を志し成し遂げるのは一握りというのは現代も変わらない。

2020/10/15

アキ

第一線で活躍中の画家が自身の美大受験を振り返って書く小説なので興味深々で読んでみた。美大受験予備校生活の恋愛を絡めて予備校仲間と先生との一夜の芸術談義は、1986年11月2日と設定しているが、日本の美大受験システムの弊害や美術教育の歴史、虚業のような芸術家という仕事、評論家と画家との関係、油絵科と他の科との交流の欠如など、その頃から今に至るまで続く問題点を提示している。「あのコは、嘘つき」と熊澤さんに言われた、佐知子のその後が気になるナ。因みに主人公のモデルは、さすがにご本人ではないらしい。

2020/10/17

keroppi

芸術家・会田誠の青春小説。美術大学学園祭の一夜が描かれるが、そこで繰り広げられる話は、現在の芸術論であり、日本芸術教育への批判であり、青春の苦い思い出である。どこまでが会田さんの実話であるかは分からないが、これも自分の芸術作品の一つと言っているように、自分の創作への想いが投影されたものだろう。「自由に絵を描きなさい」という課題が提示されたときの、心の葛藤が、激しいくらいにこちらにも伝わってくる。青春小説としても魅力的な作品だった。

2020/09/15

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