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絵ことば又兵衛

絵ことば又兵衛

絵ことば又兵衛

作家
谷津矢車
出版社
文藝春秋
発売日
2020-09-30
ISBN
9784163912622
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絵ことば又兵衛 / 感想・レビュー

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いつでも母さん

実在の絵師『岩佐又兵衛』を谷津さんが紡ぐ親子の物語。荒木村重の子として生まれ数奇な運命の人だったのだなぁ。吃音の為に言葉では上手く気持を伝えらないが、又兵衛は絵師と出会いその道を進む。陰に日向に又兵衛を支えた人々がいて本当に良かった。静かに静かに谷津さんに読まされた感じだった。

2020/10/20

みっちゃん

絵師岩佐又兵衛を初めて知ったのは、「奇想の系譜」で紹介されていた『山中常磐』その生々しく凄まじい描写から感じられたのは異様な執着や嗜虐。でも、作者の描く又兵衛はそんな印象とは違っていた。織田信長に謀反を起こした武将の子として生まれながら、その出自を知らされず、でも知らぬうちにその父の存在に人生を翻弄され、父を恨みながらもたった一つの拠り所である絵をひたすら描き続ける事で気がついた父の自分への思い。迷い戸惑い、回り道をして辿り着いたその境地が静かに胸に沁みていくように感じた。

2021/04/07

trazom

先月、京博の「皇室の名宝」展に出かけた。お目当ては伊藤若冲だったが、思いがけない収穫が岩佐又兵衛の「小栗判官絵巻」。その岩佐又兵衛を描いたこの小説は、伝承と創作を巧みに組合せて見事。荒木村重の子という出自、織田信雄や結城秀康、狩野内膳や長谷川等伯との関係などに加え、近松の「傾城反魂香」を踏まえた設定で、この奇想の画家の心の内を描き出してゆく。代表作である「洛中洛外図屏風」「豊国祭礼図屏風」「山中常盤物語絵巻」に至る展開は、推理小説を読むようなスリル満点。作家の想像力の巧みさに舌を巻く、面白い小説だった。

2020/12/14

タイ子

戦国時代~徳川まで、浮世絵師・岩佐又兵衛の半生の物語である。と、偉そうに書きながらも又兵衛の名前すら知らなかった私。本作に登場する彼に関わる人物たちの魅力と、又兵衛の出自がドラマチックで惹きこまれる。母が養母だと知った又兵衛、その養母も何者かに殺害されてしまうという中で絵に才能を見出された又兵衛は生まれつきの吃音のため、上手く言葉に表せない苛立ちがあった。それでも、彼の出会う師や恩人は生涯に大きな影響を与えていく。「百万語を費やすより一枚の絵の方が物を語る」時に胸を熱くしながら一人の絵師の生き様に感動。

2021/05/29

なゆ

岩佐又兵衛。絵師の話を読むのはもともと好きだけど、これは“荒木村重一族の生き残りが絵師に…”とあったので、ますます気になった一冊。それだけでも数奇な人生だが、吃音のため(しかも大人になっても治らず)余計に苦難の道のりに。絵師は絵だけを描けばいいというものでもなく、その絵について話さねばならぬことも多いのだ。どこでも絵の腕はかなりのものなのに、吃に足を引っ張られてしまうことに歯がゆくてならない。ここでは越前で山中常盤絵巻を描き上げたとこまでだが、どうやらこの先江戸にも招かれ絵師人生全うできたようで良かった。

2021/03/05

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