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私にできるすべてのこと

私にできるすべてのこと

私にできるすべてのこと

作家
池辺葵
出版社
文藝春秋
発売日
2021-03-24
ISBN
9784163913506
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「私にできるすべてのこと」のおすすめレビュー

『プリンセス・メゾン』の池辺葵、最新作の舞台は“ヒト型AI”と共存する近未来――AIは本当に人の仕事を奪うものなのか

『私にできるすべてのこと』(池辺葵/文藝春秋)

 池辺葵さんの描くマンガにはいつも、明確な主人公がいない。もちろん物語なので、軸となる語り手はいるのだけれど、誰かひとりの強い力で、物語が進んでいくことはあまりないように思う。それは、池辺さんにとっての世界が、想いの連鎖で積みあがっているものだからではないだろうか。最新刊『私にできるすべてのこと』(文藝春秋)では、その、想いを重ねていく人たちのなかに、感情を持たないはずの“ヒト型AI”も加わって展開していく。

 各話のタイトルは登場人物の名前。第1話の和音(わおん)は、いつも無表情のおかっぱ頭の女性。山の上にあるごみ処理場のあたりをふらふらしていたところを、水晶玉を覗き込んで目の前にないものまで覗き見る占い師・斗音(とね)おばさんに拾われた、らしい。それこそ水晶のような、特別な瞳を持つ和音は、斗音の営む喫茶まんぷくで働きながら、人々を観察している。〈彼らは怒ったり笑ったり泣いたりしながら キラキラと発光しつづけている〉。その所感を、通販会社で働く男性・田岡に送り続ける彼女の真意は不明だが、田岡を通じて…

2021/3/29

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<続きは本書でお楽しみください>

2021/3/31

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書き記すような特別なことは何もない。池辺葵が描く、人とAIが共存する日常/私にできるすべてのこと②

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<第3回に続く>

2021/3/30

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私にできるすべてのこと / 感想・レビュー

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buchipanda3

使命が修了すると廃棄となってしまうヒト型AIロボット。その中の一人である彼女、和音(元の名はNo111)が観察した人の社会。AIの皆が同じ形の目、それがじっと何かを見つめる時の表情が印象的だった。田岡くん(元の名はNo100)も同じ目で観ていた。善意も悪意もなく、ただ無になって見つめたもの。感情を持たない彼女は人が怒ったり、喜んだり、悲しんだりする様を、いや、ただ生きている姿をキラキラ発光していると言う。そうかキラキラか。何だか素直に嬉しくなった。そう、リリィさんみたいに素直でいるのも良いことだと思った。

2021/03/27

かさお

近い将来起こり得ること。A I人型ロボット〔人間と見分けがつかないレベル〕が増えすぎ人間の職が無くなるという理由で、余剰なAIは回収され他の動力に回される方針となった世の中。郊外のゆったりした片田舎街で、人間とA Iはまだ共存している。元監視カメラだった和音の目には、人間は発光している様に映る。セリフが余り無く、単純な線のイラストなのに、和音の大きな瞳と目が合うと、ドキッとしてしまう。私が感じる池辺葵の魅力は、押し付けがましく無い事。突拍子もない動きと無声映画のような静けさとの対比、じんわりくる。

2023/10/01

ぐうぐう

人間の役に立つため開発されたはずのヒト型AI。しかし、道具として良くできているがゆえに人間の領域を侵すこととなり大量廃棄が始まる。元監視カメラのヒト型AI・和音の目を通して映し出されるのは、人間の営みだ。人間の都合で造られ、人間の都合で是非が決められ、人間の都合で捨てられるAI達。そんな身勝手な人間達を和音は、淡々と見続け記録する。そして、どうして彼らは発光するのかと考える。「だからヒト型はだめなんだ すぐに情がうつってしまう」という言葉が象徴するように、(つづく)

2021/06/13

真朝

SFは苦手で何て書いたらいいのかよく分からないのですが、人間ありきなところが少し嫌に感じました。人間が造ったのだからしょうがないと思うけれど、本当に人間て我儘だなと思いました。 SFは苦手でも優しい絵と言葉に癒されるし、人間全て悪い訳じゃ無いのも描かれています。

2021/04/10

しゅん

進化しきれない未来のような。AIの目は子供のようで、ずっと子供のままの存在として彼らは描かれる。

2022/02/10

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