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最終飛行

最終飛行

最終飛行

作家
佐藤賢一
出版社
文藝春秋
発売日
2021-05-27
ISBN
9784163913728
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「最終飛行」のおすすめレビュー

『星の王子さま』のサン=テグジュペリは、なぜ空を飛ぶことに固執し、あのような最後を迎えたのか?

『最終飛行』(佐藤賢一/文藝春秋)

 宮崎駿がもっとも影響を受けたのは、『星の王子さま』の著者として知られるサン=テグジュペリだという。学生時代、ことのほか愛読した『人間の大地』(新潮文庫)の新装版にはカバーイラストを描きおろし、巻末解説で以下のように語っている。

〈人類のやることは 凶暴すぎる。(略)空を飛びたいという人類の夢は、必らずしも平和なものではなく、当初から軍事目的と結びついていた〉

 サン=テグジュペリもまた、第二次世界大戦下においてはフランス軍所属のパイロットとして空を飛び、年齢制限のため退役したあともみずから志願し偵察飛行を続け、1944年、地中海空上で消息を絶った。

 いったいなぜサン=テグジュペリは、それほど空を飛ぶことに固執したのだろう? 作家として十分すぎるほどの名声を、すでに手に入れていたにもかかわらず。そしてなぜ、宮崎駿のいうように〈「世界は蟻の塚だ」と書き遺して、ほとんど自殺同然に地中海上で消えていった〉のだろう? その謎にこたえてくれるのが、サン=テグジュペリの半生を描きだした佐藤賢一の長編小説『最終飛行』(文藝春秋)…

2021/5/27

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最終飛行 / 感想・レビュー

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starbro

佐藤 賢一、ナポレオン三部作に続いて、二作目です。「星の王子様」は知っていますが、サン=テグジュペリの物語は、初読です。私のサン=テグジュペリのイメージは、ひ弱でロマンチックな文学青年だと思い込んでいたのですが、大谷翔平ばりの巨漢(私よりも大きい)で、現役の空軍将校だったというのが、大変意外です。いずれにしても世界を股にかけた波乱万丈の人生でした。 https://books.bunshun.jp/articles/-/6283?ud_book

2021/07/12

パトラッシュ

本書で描かれるサン・テグジュペリは極度に生きることの下手な男だ。不器用にしか妻を愛せず、生活的無能力者で周囲の迷惑も顧みず自説に固執する。何より最大の失敗は、味方でなければ敵とみなす戦争の本質を理解せず我を通し続けた点。文才があって影響力も高いため自由フランスとヴィシー派双方から狙われた挙句、コウモリのような裏切り者呼ばわりされた。そんな政治に汚れた地上を厭った彼は、現役年齢を過ぎても飛行に執着し空の上だけに自由を見出す。敵機に撃たれた機体でより高くへ飛び続ける最終飛行の姿は、文字通り天への旅路に思えた。

2021/06/17

pohcho

「星の王子様」の作者、サン・テグジュペリの半生を描いた物語。自由で情熱的だけど我が儘で自分勝手。日本的な感覚ではちょっと自由すぎる気もするけど、人好きでどこか憎めない、そして何よりも祖国を愛し、祖国のために役立ちたいと切に願っていた。そんな、とても愛すべき人物だった。第二次世界大戦をフランス目線で読んだのは初めてなので、とても興味深かった。「星の王子様」の著作権を思いつきで洗礼子にあげてしまったエピソードにはびっくり。

2021/08/24

ふみあき

おそらく20年以上前に『星の王子さま』は読んだけど、「あざとい童話だなー」と思いつつ、やっぱり泣いてしまった記憶がある。子どもが死ぬ話はズルい。それはともかく、主人公のアントワーヌ・ドゥ・サン・テグジュペリは相当な社交家だったようで、登場人物がやたらに多く、とても覚えきれない。そして、借り物の最新鋭偵察機を不手際でおシャカにしても恬然としているなど、かなり性格の破綻した人物として描かれている。しかし「最終飛行」における手に汗握るドッグファイトでは、蒼穹を乱舞する主人公の姿に、どこか神話的な崇高さを感じた。

2021/06/16

星落秋風五丈原

双頭の鷲のデュ・ゲクランしかり、『二人のガスコン』のダルタニヤンしかり、これまで名だたる名士たちを引きずりおろしてきた佐藤賢一が挑むのは、世界的ベストセラー『星の王子さま』の作者サン・テクジュベリ。彼が第二次大戦の最中偵察飛行に出かけたまま行方不明になったことは知られている。まるで『星の王子さま』タイトルロールを地で行くような人生だ。狐や蛇のモデルも当然いる、と探して見るも一興。

2021/06/10

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