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本心

本心

本心

作家
平野啓一郎
出版社
文藝春秋
発売日
2021-05-26
ISBN
9784163913735
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平野啓一郎『本心』ロングインタビュー!「強調したかったのは、愛する人が他者であるということはどういうことなのかというテーマです」

※この記事は『ダ・ヴィンチ』7月号「ノベルダ・ヴィンチ」に掲載された「平野啓一郎『本心』インタビュー」のWEBノーカットバージョンです

 平野啓一郎は分人主義という独自の思想に基づき、「私」の根拠について思考=試行する物語を書き継いできた。20年後の日本を舞台に展開する『本心』は、貧困、格差、「自由死」など二十一世紀的問題群が外挿化された小説である。平野文学の到達点がここにある。

(取材・文=榎本正樹 写真=川口宗道)

初期三部作、実験的な短編群、そして分人主義の提唱へ

 平野啓一郎は「作風」を重視する作家である。それは自身の作品世界を4つの時期に分け、それぞれの時期で異なる作風の作品をリリースする姿勢からも明らかだ。第1期は『日蝕』(1998年)、『一月物語』(99年)、『葬送』(2002年)のロマン主義三部作。短編小説や実験小説群を特徴とする、『高瀬川』(03年)から『あなたが、いなかった、あなた』(07年)に到る第2期。前期分人主義を唱えた第3期は『決壊』(08年)、『ドーン』(09年)、『かたちだけの愛』(10年)、『空白を満たしなさい』(12年…

2021/6/15

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本心 / 感想・レビュー

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starbro

平野 啓一郎は、新作中心に読んでいる作家です。本作は、カズオ イシグロにインスパイアされたのでしょうか、近未来ママっこ男子VF譚でした。肉親であっても本心は、誰も解らないし、本人でさえも自分の本心を解らないかも知れません。 https://k-hirano.com/honshin

2021/06/15

ウッディ

平野さんらしい簡潔で美しい文章で紡がれた近未来の物語は、日本の明日を考えさせるとともに、読書の楽しさを教えてくれたような気がする。VR技術、自由に死ぬ権利、格差社会など、難しいテーマを扱いながらも、シンデレラストーリーのような物語としての面白さもあった。底辺を生きる朔也や三好のこちら側と富める者達のあちら側について、悔しいけれど、いつかあちら側に行けるかもしれないという希望を持てるから、なくならないでほしいと呟く三好の言葉が印象的だった。久々に出会えてよかったと思える一冊でした。

2021/11/28

まちゃ

「自由死」が合法化された近未来の日本。石川朔也は、母の死後に孤独と喪失感から立ち直れず、AIで再現された生前そっくりの母を再生させて「自由死」を望んだ母の本心を探ろうとする。母の友人・三好彩花、かつて交際関係にあった老作家・藤原亮司が語る知らなかった母の一面。アバター・デザイナー、イフィーとの出会い。それらを通じて、朔也は悲しみから立ち直っていく。朔也の内省が多く、共感出来るところ、出来ないところありましたが、それでも親子、命、格差や人とのつながりを考えさせる興味深い物語でした。

2021/06/26

R

かけがえのない母親を失った男性の復活の物語でもありながら、人生とは何か、生きてきたとはどういうことかを問う物語でした。短くまとめることができないほど、たくさんのサジェスチョンのある内容だったけども、SF的な要素によって、人物というものをどう認識するかという問いかけとともに、人間を認識するとはどういうことかを端的に示した話だったと思う。本心という概念は、誰にもわからないものでありながら、その周辺を彩る自分という存在もあり、自分を定義するものも関わる人や環境なのかもと思いつつ、答えの出ない哲学的な内容でした。

2022/02/16

kaoru

2040年代、格差が広がりVRやVFが日常的になった日本。高校を中退しリアル・アバターの仕事をしている朔也は亡き母のVFを作成する。母の友人で貧しい彩花や富豪イフィーと知り合いになってから朔也の人生は肯定的な方に向かうが、母の友人の藤原から聞いた自らの出生の秘密は朔也を新たな混乱に陥れた。平野氏の描く未来はあまり明るいものではなく、科学技術だけが歪に発達した世界で人間の住む世界は狭められてゆくが、そのなかでも前向きに生きようとする朔也の姿が救い。幼くして父上を失った平野氏の哲学的な問いかけに満ちた著書。

2021/07/21

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