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琥珀の夏

琥珀の夏

琥珀の夏

作家
辻村深月
出版社
文藝春秋
発売日
2021-06-09
ISBN
9784163913803
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「琥珀の夏」のおすすめレビュー

辻村深月2年ぶりの長編小説! カルト集団と批判された学校の敷地から発見された白骨死体をめぐる、痛みと祈りの物語

『琥珀の夏』(辻村深月/文藝春秋)

〈かつて自分が信じていたものを誤りだったと大人が捨てても、その大人が築いたものに、子ども時代を使われてしまった子はどうなるのだ。その子たちに対する責任は誰がとるのか――〉。2年ぶりの長編小説『琥珀の夏』(文藝春秋)でこの一節に触れたとき、辻村深月さんはずっと、子どもをとりまく社会と戦い続けてきた作家なのだ、と思った。

 親と離れて子ども中心の共同生活を送ることで自立心と自主性を、〈問答〉などの教育によって思考を言葉に変える力を育んできた〈ミライの学校〉。かつて、ある事件をきっかけにカルト集団として批判された学校の敷地から子どもの白骨死体が発見され、行方知れずの孫ではないかと案じた依頼人のかわりに、弁護士の法子は東京に居をかまえる学校の事務所に向かう。けれど実は法子もまた、かつて〈ミライの学校〉で過ごしたことのある子どもの一人だった。

 といっても法子が参加したのは夏の合宿、それも小学4年生からの3年間だけ。当時、クラスになじめず友達のいなかった法子にとって、現実を忘れられるその場所での体験は確かに特別なものだったけれ…

2021/6/9

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琥珀の夏 / 感想・レビュー

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starbro

辻村 深月は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。2年ぶりの長編、期待して読みました。カルト集団に育てられた子供たちの未来、著者が書くとこういう物語になるのは解ります。但し、もう少しサプライズが欲しかった気がします。対局で思いっ切りエンターテイメントに走ると「高校事変」になるんでしょうね。 https://books.bunshun.jp/articles/-/6323?ud_book

2021/07/06

パトラッシュ

琥珀に閉じ込められた昆虫は美しいが死骸だ。記憶という名の琥珀に死骸が混入していたと知った女性弁護士法子は、10歳の日々を確かめる旅に出る。理想の教育をめざした共同生活での甘く切なくほろ苦い思い出も、そこに絡まる大人の身勝手な思惑が明らかになるにつれて泥臭く汚い現実が露呈してくる。傷つくのがわかっていても親になった法子は真実を知ろうとするが、そこで見つけたのは子供の残酷さが起こした事件だった。いつもの辻村作品ならもっと詳細に書き込まれるラストが、新聞連載のためか法子が報告する形でまとめられていたのが惜しい。

2021/08/06

うっちー

親もいろいろいるので、唯一で正解はないかもしれません

2021/06/30

まちゃ

子供は社会が育てるという理念の基で、子供たちを親と離して集団生活させる〈ミライの学校〉。かつてカルトと批判された〈ミライの学校〉の敷地跡から発見された子どもの白骨死体。30年前、そこで夏を過ごした二人の女性、田中ミカと近藤ノリコ、の幼い日の罪と友情の物語。親の信念や信仰で集団生活を送る子供たちの気持ちがリアルに描かれていたと思います。さすが辻村さんですね。面白かったです。

2021/08/21

とろとろ

かつてカルト集団として批判された団体の敷地から子どもの白骨が発見される。その裁判の弁護を引き受けたのが、かつて小学生の頃この団体の夏合宿に参加していた女性弁護士だった。(琥珀に包まれていた)その記憶を断片的に思い起こしながら弁護する、っていうのが本筋かしら。これって、オウム事件があった前後に、ついでみたいに叩かれたヤ○○○ファーム事件のことなのかしらと思った。現代では集団生活をする組織は外から見れば奇異に見えるが、中に入れば意外と普通だったりする。でも、大人ではなく子供たちが悩むのは、やはり何か変。

2021/08/09

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