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万葉と沙羅

万葉と沙羅

万葉と沙羅

作家
中江有里
出版社
文藝春秋
発売日
2021-10-21
ISBN
9784163914541
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万葉と沙羅 / 感想・レビュー

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シナモン

繊細で傷つきやすく、人生に臆病になっている若者が本を通して前に進んでいく物語。万葉(まんよう)君という名前が印象的だった。いい名前だな。本好きの中江さんらしく、たくさんの本が登場。伊藤計劃の「ハーモニー」福永武彦の「廃市」読んでみたいな。「本を選ぶのも、読書のうちだよ」読書っていいなぁとしみじみ。静かで落ち着いた文章に温かな余韻が残る一冊でした。

2021/11/18

ベイマックス

万葉という男の子と沙羅という女の子の物語。人づきあいの苦手さから不登校、通信制高校、通信制大学へと。その中で読書を間に距離が縮まっていく。古書店店主の万葉の叔父さんをはじめとした人間模様も、面白い要素の一つとなっている。◎作中に登場した本を読みたくなり、『読みたい本』がまた増えてしまう。

2022/06/04

tenori

タイトルが素敵。互いに拗れた背景を持ち、通信制の高校で再会したかつての幼なじみ万葉と沙羅。古書店と本というツールを媒介に自分の殻を少しずつ破っていく物語。双方が強い思いやりの感情を持ちながらも恋愛的な関わりにならないところが肝で、「好き」なことが多く見つかれば日常が楽しく拓けること、「好き」という気持ちには人によってそれぞれニュアンスが違うことを教えてくれる。優しい文体と要所で登場する文学作品の数々は本好きな中江友里さんらしい。中高生世代にお薦めしたい一冊。

2022/02/09

しいたけ

実は先日、この本の舞台になっている高校の学校説明会に行ってきた。この本では通信制の方だが、私が行ったのは定時制の方。 校長先生の話、教育理念、学校や生徒の雰囲気、全てが素晴らしかった。出席が当たり前、行事参加も必須の全日制と比べて特異であることは勿論だが、仕事で子どもを通して関わってきたどの定時制とも全くもって違っていた。塾からも「この学校はオンリーワンだ」と言われた。定時や通信を選ぶ事情は人それぞれ。万葉にも沙羅にもそれぞれ抱える問題がある。正解は一つと教える学校より、ずっと真っ当な世界だと思った。

2022/10/10

ポップノア@背番号16

通信制の高校に入学した沙羅は幼馴染みの万葉と出会う。居場所の見出だせない沙羅だったが、読書家の彼に影響を受け少しずつ心境に変化が…。青春時代の鬱積した感情を思い出す。孤立していた沙羅が好んで独りの時間を過ごす過程は私にも覚えがあったので。読書に逃避する沙羅は中江さん自身の投影なんだろうと、最近エッセイを読んだ者としては推測してしまう。そして沙羅の読書指南のような万葉の悩みにも共感せずにはいられない。「たまには群れてもいいと思うよ」と沙羅に諭される場面が好きでした。最後は唐突とも思えるけど微笑ましいですね。

2022/05/03

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