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奔流の海

奔流の海

奔流の海

作家
伊岡瞬
出版社
文藝春秋
発売日
2022-01-26
ISBN
9784163914916
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奔流の海 / 感想・レビュー

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イアン

★★★★★★☆☆☆☆運命の悪戯に翻弄された若者の半生を描いた伊岡瞬の長編。休業中の旅館の一人娘・千遥は、1年振りの宿泊客である大学生・裕二の目的に興味を抱く。一方、幼少の記憶が欠如した裕二は、謎の男・矢木沢と知り合ったことで自身の出自に疑問を抱き始め…。千遥と裕二、時系列の異なる2つの物語がどう繋がるのかが最大の見せ場。裕二の父・清一のクズっぷりには怒りしかないが、この怒りこそが伊岡作品の真骨頂なんだと再認識した。ある人物の自死が腑に落ちなかったものの、ふと夏の夜空を見上げたくなるハートフルな物語でした。

2022/08/07

いつでも母さん

姓が変わるのがこれで何度目なのか、自分でもとっさにわからなくことがあると言う皓広。物心つく前から運命に翻弄された一人の人間の証明を見せつけられた感じ。『本当のお母さんとはなんだろう』そうだよね。そう言いたくなるよね。序章の豪雨・土砂崩れから物語の行く末が気になって、ドンドン引き込まれて行くのが快感だが、何度も溜息と息苦しさにページを捲る手が止まる。全てを回収してラストは出来過ぎだと思うものの、奔流に飲まれたのは読み手の私。凪て今はただその余韻に揺蕩っていたい。

2022/02/15

のぶ

ひとりの青年を中心にした数奇な運命の物語だった。清田千遥と坂井裕二、二人の視点で交互に語られるが、本作の主人公は裕二。始まりは1968年、豪雨を伴う台風が静岡を襲来する。時代と場面が変わり、裕二が登場する。幼い頃、津村を名乗っていたが、里親が現れ12歳の時、姓を坂井に改める。普通の生活を送っていた矢先に、自分の過去を探ってみると、冒頭の出来事に繋がるある事が明らかになる。もう一方の目線の旅館を営む清田千遥も絡むが、自分はあくまで裕二に感情移入した。上記以外にも変わる裕二の姓が本作の複雑さを物語っていた。

2022/02/21

モルク

今は休館している旅館清風館の娘千遥と児童虐待を受けていた過去を持つ裕二。このふたりの話が交互に語られる。20年前の台風の夜土砂崩れに巻き込まれ避難中に息子を連れ去られた夫婦。裕二が父から受けていた虐待、あたりや生活。懸命に働くが身体の弱い母。裕二の裕福な養父坂井。子供を間違って渡した千遥の父。そして…色々なことが重なって1つに繋がっていく。最後はこれでもかというほどまるく収まる。引っ掻き回してくれた矢木沢が意外といい人だった。裕二と実母の再会シーンを見たかったな。

2022/04/21

ムーミン

展開、表現、結末、いずれも自分にとってとてもよかったです。

2022/04/02

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