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踏切の幽霊

踏切の幽霊

踏切の幽霊

作家
高野和明
出版社
文藝春秋
発売日
2022-12-13
ISBN
9784163916330
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「踏切の幽霊」のおすすめレビュー

幽霊の目撃談から、その真相を追い求める男が辿り着いたのは? 『ジェノサイド』著者・高野和明による11年ぶりの長編小説『踏切の幽霊』

『踏切の幽霊』(高野和明/文藝春秋)

 人が死んだらいったいその魂はどこへ行ってしまうのだろう、と考えたことはないだろうか。昨日まで確かにあったはずの心は、記憶は、本当に肉体とともに跡形もなく無に帰してしまうのだろうか。欠片でいいから、何かが残っていてほしい。そう願う人が一人でもいる限り、この世から幽霊譚は消えないのかもしれない。そんな切ない読後感を漂わせるのが、小説『踏切の幽霊』(高野和明/文藝春秋)。累計100万部を突破した『ジェノサイド』の高野和明による、11年ぶりの長編である。

 主人公は、女性誌の編集部で働く、元新聞記者の松田。畑違いの仕事になじめないまま、契約期間の終了を2カ月後に控え、心霊特集の担当を任された松田は、幽霊の目撃談のある場所をめぐる。そうして訪れたのが、長い黒髪の女性らしき影が撮影された、下北沢の踏切だった。

 その踏切で人身事故が起きたという話は聞かないが、かわりに電車の緊急停止は相次いでおり、運転士が見たはずの人影は一度も見つかっていないという。慎重に検証を重ねながら調べていくうち、松田は、その近くで亡くなった女性の存…

2022/12/13

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踏切の幽霊 / 感想・レビュー

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starbro

11年ぶりの高野 和明の新作です。本書は、哀しく切ない女性のゴーストストーリーでした。昨年読んでいたら2022年のBEST20にランクインしていた筈です。ちょっとの差で残念。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916330

2023/02/07

青乃108号

最愛の妻を病気で失い、失意のどん底の雑誌記者。彼が担当する婦人雑誌に投稿された、ある踏み切りで撮影された一枚の心霊写真から全ては始まった。写真に映った霊は実は踏み切り近くで殺された女のものだとわかり、記者は女の過去を追う。やがて明らかになる、あまりに悲しい女の過去。記者は女の義憤を晴らすべく行動を開始するが。「死」が「無」ではない、我々の世界と繋がったものであると感じられ、怖いながらもどこか心が安らかになるような、不思議な読後感の本だった。高野和明の本をもっと読みたい。書き続けて欲しいと心から思う。 .

2023/11/11

うっちー

最高傑作のジェノサイドから、待つこと11年。ジェノサイドを超えることはなかったが、それなりには。次回作こそは

2023/01/09

きよかつ

幽霊譚、でも面白い。笑えない子供、人間ってどんだけ苦しい事か。その無念を多少なりとも晴らせたんだろうか。松田氏には共感出来るし、大切な人の存在はとっても貴重な事とあらためて感じさせられました。

2023/03/27

タツ フカガワ

下北沢三号踏切で撮影された若い女性の霊。この踏切近くでは1年前に女性が殺されていて、犯人は逮捕されたものの、女性の身元はいまだ不明。妻を亡くし仕事に熱意を失った雑誌の契約記者松田が担当するこの幽霊企画は、やがて女性の身元探しになり、驚く展開になっていく。『ジェノサイド』から11年ぶりの新作、いやあ面白かった。「信じる,信じないといった知性の働きとは別に、人間の根源的な部分には、超自然の怪異を怖れる本能が潜んでいるよう」とは本書のなかの一文ですが、怪異の中に愛と悲しみを目一杯盛り込んだ面白本でした。

2023/01/13

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