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極楽征夷大将軍

極楽征夷大将軍

極楽征夷大将軍

作家
垣根涼介
出版社
文藝春秋
発売日
2023-05-11
ISBN
9784163916958
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「極楽征夷大将軍」のおすすめレビュー

足利尊氏は“空っぽ”な男だった!? 混迷の時代、まったく覇気のない尊氏が頂点に上り詰めることができたのはなぜか?

『極楽征夷大将軍』(垣根涼介/文藝春秋)

『光秀の定理』『信長の原理』(どちらもKADOKAWA)、『涅槃』(朝日新聞出版)といった作品で、歴史上の人物がどのような行動原理に基づいて生きていたのか、大胆な仮説と解釈をエンターテインメント作品として展開してきた垣根涼介氏。その最新作『極楽征夷大将軍』(文藝春秋)で物語の主人公となるのは、室町幕府の初代征夷大将軍・足利尊氏だ。

 鎌倉時代末期から南北朝時代の動乱期。鎌倉幕府を滅亡へと導く数々の戦いと権力闘争を生き抜き、さらには倒幕後の後醍醐天皇による建武政権に反旗を翻し、室町幕府の創設を成し遂げた足利尊氏。この英雄とも逆賊とも評価される稀代の人物を垣根氏は本の帯にもあるように「やる気なし、使命感なし、執着なし」という徹底して“空っぽの人間”として描く。

 例えば、尊氏の人物像は次のように描写される。

野心の希薄さ、定見の無さ、精神面の惰弱さたるや、武門の棟梁としては生まれついての廃人そのものである。尊氏に多少ともあったのは、薄ぼんやりとした愛嬌と、それに伴う他者への度量のようなものだけだった。

 幼い頃より共…

2023/5/11

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極楽征夷大将軍 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

鉄之助

足利尊氏と弟・直義の少年期から亡くなるまでの壮大なドラマだった。まるで二人のやり取りを見てきたように描写する垣根涼介。超長編作も、飽きずに一気読み。さすが直木賞受賞作。「中身のない虚無だからこそ~、頭の中が頭陀袋同然だからこそ、かえって人に受け入れられる」尊氏のとらえどころのない魅力が、ストンと腑に落ちた。

2024/01/01

starbro

垣根 涼介は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。足利尊氏は、当然知っていますが、足利尊氏・直義兄弟の建幕物語は初めてです。足利尊氏の性格が本書の通りだとすると源頼朝とは対極のような気がします。読み応えがありましたが、フォント小さめ&二段組&文字密なので、還暦手前のオジサンには辛い読書でした。足利尊氏・直義兄弟が鎌倉で青春時代を過ごし、足利尊氏が一時期、鎌倉殿と呼ばれていたとは思いませんでした(驚) https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916958

2023/06/02

パトラッシュ

小沢一郎は海部俊樹を首相に担いだ時「神輿は軽くてパーがいい」と公言したが、確かに一面の真理だ。周囲の意見を聞かず自説に固執する上司より、やりたいようにやらせて責任は取ってくれる上司を部下は求める。本書に描かれる足利尊氏は軽すぎてパーすぎて無欲だが戦争だけはうまく、全てを思う通りに動かそうとした上に恩賞をケチった後醍醐天皇と比べ魅力ある大器とされた。尊氏を補佐した直義と師直は理想に囚われて政権分裂を招き、共に不幸な最期を迎えた。始末に困る極楽トンボが生き残れたとは、政治家の権力闘争がアホらしく見えてしまう。

2023/06/14

bunmei

足利尊氏が、室町開幕に至る政権争いの紆余曲折を綴った歴史大作。尊氏と言えば、ざんばら髪の騎馬武者、勇猛果敢な武将のイメージ。しかし本作では、執着心もやる気もなく、怠惰な武将として描かれている。そんな尊氏が征夷大将軍まで上り詰めた経緯を、尊氏のブレインとなって政権を切り盛りしてきた、尊氏の弟直義と足利家の重臣高師直の活躍を中心に描いている。無能な尊氏を担ぎ上げ、カリスマ的な影響力で、直義等が武士の世の再建を目指す。その中で血で血を洗う動乱の世を、懸命に駆け抜けていく武将としての悲しい運命に、胸が打たれる。

2023/08/05

修一朗

垣根さんの歴史小説はぜんぶ面白い。はっきり人物を描くからだ。やる気も執着心もなく恬淡として生きた足利尊氏が人の好さと担がれやすさで征夷大将軍になってしまった。フィクションと思ったらエピソードはほぼ史実。戦上手なのはどう見ても楠木正成であり新田義貞なのに最後に勝ってしまう歴史の面白さよ。それにしても後醍醐天皇を追い出したのちもこんなゴタゴタ続きだったのは知らなかった。こんな脆弱な政府ができた経緯にも詳しい。足利尊氏直義兄弟と高師宣で作り上げた室町幕府創設物語。ガッツリの読み応え,もちろん今月のベストだ。

2023/10/31

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