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芥川賞全集 第十七巻

芥川賞全集 第十七巻

芥川賞全集 第十七巻

作家
笙野頼子
室井 光広
保坂和志
又吉栄喜
川上弘美
柳美里
辻仁成
出版社
文藝春秋
発売日
2002-08-12
ISBN
9784165072706
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ジャンル

芥川賞全集 第十七巻 / 感想・レビュー

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syota

今まで芥川賞にはさほど関心がなかったが、一度読んでみようと、聞いたことのある名前が多かったこの巻(平成6年~8年)を借りてきた。『タイムスリップ・コンビナート』笙野頼子~描写は具体的なのに現実感の薄い白昼夢のような世界。パンチには欠けるが不思議な味わい。『おどるでく』室井光広~混沌としていて私の読解力では理解困難。しかし個々のエピソードが印象的で、解らないながらも惹かれるものがある。『この人の閾』保坂和志~まったりした雰囲気はいいのだが、筋らしい筋も掘り下げた心理描写もないため拍子抜けしてしまう。(続く)

2016/11/24

Ichiro Toda

最初に驚いたのはこんな全集あるのかという驚き。芥川賞作品数作品と選評、受賞挨拶、作者の異常に詳しい年譜、と楽しめる要素が多かった。タイムスリップ・コンビナートが読みたくて図書館から借りたものだが、じっくりと時間をかけて何回も舐めるように味わってしまった。作者の選評が意外と秀逸で、作品を読む前に読み、作品を読んだあとに読み、該当箇所をもう一回作品で読んでみて、選評を読んだ。最初はこの人は何書いてるのかという箇所もそう読めるのか!と納得し、読み方の勉強になった。何冊か手元に置きたいなあと思える全集。

2015/03/21

うぃっくす

タイムスリップコンビナート→夢と現実の間を行き来しているようなお話。ベンチの上に立っている子供のシーンが好き。おどるでく→小説というより批評。なんで選ばれたのかな。この人の閾→ザ・私小説って感じでよかった。豚の報い→行ったこともないのになんだか沖縄を感じた。好き。蛇を踏む→一見ホラーっぽい話なのにみんなが淡々として日常になってるのがいい。最後も好き。家族シネマ→破綻した家族とか尻ばっかりとってくる芸術家とか。面白かった。海峡の光→芥川賞っぽい骨太な話だった。お互いの心の闇。面白かった。

2018/05/06

乱読999+α

図書館で借りた本だが、「返済期限票」なる紙が貼ってあった。前近代的なシステム?と感心。H23.11から誰も借りていないのを見て芥川賞の人気は発表の時だけの一過性の物なんだと思った。ところで、記載の論評の中である作家が「文学作品に話の筋は期待しない」と書いているのを見て愕然とした。文学作品=小説ならば私は違和感を覚える。文学を勉強した事もない小説好きの普通の読者にすぎないが、極論すぎると思うし、同感もできない。話の筋が良くない物語なんて考えられない。さて今回も各作品の感想をコメント欄に記載するが悪しからず。

2015/05/03

彩美心

辻仁成の『海峡の光』が一番よかった。花井修の行動は突飛なように見えながらも理解できると思った。花井は人をいじめるだけでなく自分自身さえも破壊してしまいたいという抑えがたい衝動をもっているのではないだろうか。そういった衝動が私自身の中にもあると感じながら夢中で読んだ。きっと人は自らの中に生きる悪魔を飼い馴らすことなどできないのだ。悪魔はどこまでも強く醜く人を支配してしまうのだ。しかも悪魔に支配されることは苦しみであると同時に甘やかな退廃的気分を誘うことでもある。人間とはかくも複雑な生きもの。

2011/10/22

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