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沢村栄治 裏切られたエース (文春新書 1300)

沢村栄治 裏切られたエース (文春新書 1300)

沢村栄治 裏切られたエース (文春新書 1300)

作家
太田俊明
出版社
文藝春秋
発売日
2021-02-19
ISBN
9784166613007
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「沢村栄治 裏切られたエース (文春新書 1300)」のおすすめレビュー

遺書に「私は野球を憎んでいます」。稀代の天才投手、沢村栄治とはどんな選手だったのか

『沢村栄治 裏切られたエース』(太田俊明/文藝春秋 文春新書)

 日本プロ野球の歴史に名を刻む沢村栄治。年に一度その年の先発完投型投手に贈られる「沢村賞」の「沢村」のことで、プロ野球黎明期の伝説的投手だ。『沢村栄治 裏切られたエース』(太田俊明/文藝春秋)は、彼の足跡を辿るとともに、彼の投げる球のスピードが現在の一流選手と比べても同等以上だったのではないかと述べる一冊だ。

 当時の世界ナンバーワン打者、ベーブ・ルースを三振に追い込むという輝かしい記録を持つにもかかわらず、沢村栄治が活躍した期間はわずか2年弱。27歳で戦死した彼の人生とはどんなものだったのだろうか。

 栄治は、1917(大正6)年、三重県宇治山田市(現在の三重県伊勢市)に生まれた。兄弟が多いこともあり、家計は苦しかったという。おとなしい少年だったが、体格が良く運動神経は抜群。小学生のときに東京から赴任してきた若い教師の影響で野球を知ると、特に投手というポジションに夢中になり頭角を現していった。その後、実の祖父(父が沢村家に養子に入っているため戸籍上の祖父は別にいるが、以下、祖父で記す)…

2021/3/24

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沢村栄治 裏切られたエース (文春新書 1300) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

fwhd8325

私の世代では、沢村栄治のプレーを見ていた人がまだ沢山いて、そのすごさを何度も聞かされたものです。私の父も沢村栄治と同世代でした。沢村栄治の話を聞くこともありましたが、そこには戦死した無念の気持ちが込められているように感じました。沢村栄治に関する著作は沢山出版されていて、何冊かは読んでいましたが、年齢のせいなのでしょうか、この著書では、時折涙が止まりませんでした。

2021/08/03

金吾

○詳しく調べていると感じますし内容はセンセーショナルで面白かったです。流布されている沢村栄治とは違う側面を見れました。

2022/09/10

みこ

プロ野球ファンなら誰もがその名前を知るであろう、しかし、どれだけ凄い選手だったかということになるとあまり知られていない伝説の投手・沢村栄治の生涯。彼の人生を綴っただけなのにある意味究極の反戦本のように感じられた。巻き込まれた人間だけでなく、国民から娯楽そのものを奪う戦争の理不尽さはコロナ禍に通じるものもある。それでもテレビを通じれば野球を楽しむことができる平和な世の中と、野球という文化をこの世に生み出してくれた彼らに感謝の気持ちが湧き上がる。

2021/05/22

Urmnaf

言わずとしれた職業野球草創期の大エース。大きく足を上げる美しいフォームから突出したスピードボールを投げ、懸河のドロップとのコンビネーションで大リーガーをも手玉に取った。しかしながら、プロ入りは周りの大人たちの思惑に翻弄され、必ずしも本人の望みではなかった。進学を諦めてプロ入りしたことが後々徴兵にも影響し、野球選手のキャリアだけでなく、文字通りの生命をも縮めてしまう。こうした様々な不本意さが野球に対する複雑な思いとなったらしい。そういう時代だったとはいえ、好きな野球にそんな思いを抱かせてしまうのは残念至極。

2021/03/02

かっくん

日本プロ野球の黎明期に活躍した伝説の投手沢村栄治。彼の生涯を通じて、戦前の職業野球の歴史の変遷も描く。映像や写真もほとんど残っていないので、実際の沢村の投球がどのようなものだったか想像するしかないが、人々に鮮烈なインパクトを与えたのは間違いない。今は設備も整い、観客動員数も順調に伸びて、毎日のように野球の試合があるのが当たり前の時代であるが、沢村たちの苦難の時代については、長く記憶にとどめるべきである。

2023/09/21

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