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新装版 日本の黒い霧 (下) (文春文庫) (文春文庫 ま 1-98)

新装版 日本の黒い霧 (下) (文春文庫) (文春文庫 ま 1-98)

新装版 日本の黒い霧 (下) (文春文庫) (文春文庫 ま 1-98)

作家
松本清張
出版社
文藝春秋
発売日
2004-12-07
ISBN
9784167106980
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新装版 日本の黒い霧 (下) (文春文庫) (文春文庫 ま 1-98) / 感想・レビュー

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yumiko

下巻は帝銀事件、松川事件等が取り上げられているが、不穏な半島情勢の今、朝鮮戦争についての考察がとても興味深かった。結局は冷戦のツケを今払わされているということなのか。戦後日本の怪事件の背後には、アメリカの日本統治の方針転換があると清張は見る。当初の民主化推進予定が、冷戦の始まりにより大規模なレッドパージと変わる。日本を反共の砦とするためだ。右(軍関係者や政治家)の排除から左(共産主義者)の排除への大き過ぎる転換が、様々な事件の要因とする著者の説はどこまで真実に肉薄しているのか。未だ明かされぬ真相が悔しい。

2017/09/12

KAZOO

上巻に引き続いての下巻では私の知らない話もありました。日銀のダイヤモンドの事件や鹿地亘拉致事件などやはり占領下でないとおきない事件ですね。よく調べていると思います。謀略朝鮮戦争も興味深く、この下巻では結構ミステリー小説になる題材があるのではないかと思われました。

2015/02/26

gtn

「帝銀事件の謎」の一章。清張の論証により、平沢貞通は無実であり、細菌関係の旧軍人が真犯人であることを確信する。そのスケープゴートになったのが、なぜ平沢だったのか。狂犬病予防接種の副作用でコルサコフ症候群に罹患し、虚言癖があったこと。事件以前に軽微な詐欺を犯していたこと。犯人と年恰好、容貌、落ち着き払った振舞が似ていたこと等、様々な偶然が重なった結果だとは思うが、運命を軌道修正できなかったという一言に尽きる。ただ、その人生は無駄ではなかった。冤罪の恐ろしさを伝える代表例として、今後も語り継がれる。

2023/05/07

樋口佳之

諜報なんて無縁に感じる生活を送っているとまさかねと思うのだけど、その後のアメリカがチリやニカラグアなど南米で行った事を思えば、直近の対戦国、占領地では全きの紳士でありましたなんて事はないだろうし。ダイヤの話とか、パージ(レッドで無い方)する相手が実はわかってなかったとか、通り一遍のお話では流してしまう部分で、そんな事あったのかと思いました。

2023/04/02

ベイス

霧は白いものだけど、終戦直後、日本を覆った霧は、タイトル通り真っ黒だったのだとため息。帝銀事件も松川事件も、現代の科学的な犯罪捜査の手法を用いれば犯人の追跡は容易だろう。それくらい、お粗末な証拠を現場に残している。しかしGHQの息のかかった捜査は、強要された自白に基づき、犯人をでっち上げていく。標的とされたのは労組や共産党員たち。左翼の脅威を印象づけるための、恐るべき冤罪。こうした怪事件は終戦後5年間に集中したというが、果たして。思想や精神はいまなお、根深く残っているのではないか。

2020/05/29

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