KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

新装版 劒岳 ―点の記 (文春文庫)

新装版 劒岳 ―点の記 (文春文庫)

新装版 劒岳 ―点の記 (文春文庫)

作家
新田次郎
出版社
文藝春秋
発売日
2006-01-10
ISBN
9784167112349
amazonで購入する Kindle版を購入する

ジャンル

新装版 劒岳 ―点の記 (文春文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

hiro

『エヴェレスト 神々の山嶺』を読んで、違った山岳小説が読みたくなり、この作品を読んだ。『武田信玄』『武田勝頼』を読んだことがあり、久しぶりの新田作品だった。天候や自然環境に左右されながら、金かんじき、草鞋、足袋に桐油布という装備で、‘未踏峰’の劒岳に登るというだけではなく、柴崎たちの日本地図の空白を埋めるという目的に向けた行動と、日本山岳会との登頂争いの緊張感がこの作品を面白くしている。また、「備品として購入すれば持ってかえらなければならないから、消耗品として購入して」という役人らしい柴崎の思考も面白い。

2016/03/15

雪風のねこ@(=´ω`=)

図面を引いている職務上、読まねばと思いつつ手にとった書籍。電子どころか電波もない時代。現地まで歩いて光学測量を行う。カメラもないからスケッチのみ。全て人の肉体を使って行う仕事で、その過酷さも宛ら糧秣調達も含めるととんでもない労力である。地図が合わないとか愚痴ってごめんなさい。執筆前に劔岳に登った著者の記述が巻末にあるが、その体験が著作に生かされていると感じた。ベテラン登山家でもあるため描写も豊かで項を繰る手が止まらない。測量手を助ける測夫や長次郎の細やかな心遣いがとても暖かく、良いなと感じた。

2019/09/26

s-kozy

裏表紙の内容紹介の文に「山岳小説の白眉」とあるように素晴らしい小説でした。読んでよかった。時は日露戦争直後、前人未到とされており、また立山信仰では「死の山」とされ「登ってはならない山」と言われていた北アルプスは劒岳。その山頂に地図を作成するための三角点を埋設する命を受けた測量官、柴崎芳太郎と彼が率いる測量チームの物語です。果たして初登頂はなるのかという主題とともに半年以上を費やして劒岳周辺の測量作業を堅実に進めていく柴崎とその一行の様も描かれ、お仕事小説としても優れていました。初志を貫く姿がよかったです。

2014/05/10

TCD NOK

前読んだ新田次郎の作品が日露戦争前の八甲田山なら、今回のは戦後。しかし舞台は同じく自然厳しい、弘法大師ですら草履を三千足潰しながら登頂出来なかった前人未踏の剣岳。しかもただ登るだけでなく、測量の三角点を設置し周辺の地図を作成させる任務も負う。主人公柴崎は現役の武官ではないし、八甲田山のような軍隊精神ガチガチな人物でなく、引くときは引くような堅実な人物だが、当時日本にも発足した、レジャーとしての登山が目的の日本山岳会も剣岳初登頂を狙っているの知り、競争でないのを分かっていながらも、先に登頂するのは・・・。

2019/03/10

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

山好きなら一度は登ってみたい剣岳。明治時代日露戦争の頃、ここは日本に唯一残された未踏の地であった。この山に登頂し、測量をするという「業務命令」が与えられた。民間人ではありながら、軍部の威信をかけて初登頂をしなければならない責任者柴崎の苦難。そしてそれを支える人々。現在では、鎖場が設置され一般人も登ることができるようになった剣岳ではあるが、いまなお年間何人かが滑落死をする難所でもある。地図を作成するということに人々の懸ける意気込みに感動。淡々とした語り口も実に好ましい。★★★★★

感想・レビューをもっと見る