KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

珠玉 (文春文庫 か 1-11)

珠玉 (文春文庫 か 1-11)

珠玉 (文春文庫 か 1-11)

作家
開高健
出版社
文藝春秋
発売日
1993-01-10
ISBN
9784167127114
amazonで購入する Kindle版を購入する

珠玉 (文春文庫 か 1-11) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

かみぶくろ

4.0/5.0 開高健の絶筆。石を愛でたり酒場を飲み歩いたり過去を振り返ったりとあまり筋らしき筋もないが、ともかく表現力が珠玉。なにげない光景や出来事も、この作家の文章に掛かれば珠玉に化ける。どういう言語中枢と想像力をお持ちなのだろうか。さすがの一言。

2021/03/09

キムチ27

筆者の絶筆とある。学生時代、私には「冒険家」としての認識しかなく、付き合っていた人にエッセーの素晴らしさを教えられながら辿り着けなかった。巻末解説が又良い・・佐伯彰一氏。アバウトな私の理解に付箋を付けてくれるように道標を立ててくれる。開高氏没後20年余り、その軌跡を俯瞰するとヘミングウェイに重なる・・らしい。確かに!その分析が面白い。3つの短編は文字通り、珠玉。個人的に「一滴の光」に打ちのめされる。男は最後まで男でありつつ逝く(人もある)とは!生涯のサミング・アップ=「浄福」・・エロスの極みでした。

2015/05/05

奥澤啓

開高健の白鳥の歌。掲載号「文学界」発売直後にとびつくように読んだ。透明感、諦観、静謐さに感じるところがあった。「開高さんが危ない!」。ほどなくしてテレビで訃報が報じられた。私は晩年の開高さんの知遇をえた。僥倖以外のなにものでもない。しばらく関心を向けない日が続いていた。どこかの山の湖で釣りをしているのだろうと思っていた。本がでることもなかった。師走のはじめ、新聞広告の 開高健「珠玉」という文字がとびこんできた。その直後の訃報であ った。白鳥の歌の予感があたってしまった。あの日を永久に忘れることはない。

2015/01/07

わっぱっぱ

アンチエイジングとかいうオカルト的妄信行動をせせら笑う体をとりつつ、日々に老いを発見する度に全力抗戦を試みてしまう私であるが、じたばたしているうちに角が取れたり欲が枯れたりすることは実は幸せなんでないか、と思い至る。晩年は旅を釣りを酒を食を謳歌していた筈の著者の綴る文章が少しも幸せそうじゃなくて、漂泊しながら沈殿する我個の足掻きに、抜け出せない闇を感じた。 もしあと1年早く読んでいたら、ただ筆が巧いだけの気取った欲深親父と認識していたかもしれない。この時この作家に出会えたことは僥倖だった。

2016/11/24

奏市

三篇の連作短篇。それぞれ宝石のアクアマリン、ガーネット、ムーンストーンが話の核となり、そこから想起される過去の出来事、思い出、物語が語られる。エッセイ風になっているが変態ちっくな内容もあり。ただそれも石に繋がる。『玩物喪志』が好み。「道道無常道 天天小有天…この世に絶対不変の道、絶対不変の心理などというものはない…しかし、まあ、毎日、ささやかな別天地というものはある、と」。政治的な事含めどうしても中国にはマイナスな感情が否めないが、こういう作品読むとプラスな気持ちも芽生える。「唐辛子のような猛妻」か。

2023/04/22

感想・レビューをもっと見る