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ちょっとピンぼけ (文春文庫)

ちょっとピンぼけ (文春文庫)

ちょっとピンぼけ (文春文庫)

作家
ロバート・キャパ
川添浩史
井上 清一
出版社
文藝春秋
発売日
1979-05-01
ISBN
9784167216016
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ちょっとピンぼけ (文春文庫) / 感想・レビュー

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absinthe

中学校の時、感想文を書いたのを思い出した。ピンキーのエピソード、中学生ながらに、キャパは可哀想と思った。でもこんな生き方をしていたら、妻になろうと思う女性はたまったものではないだろう。爆撃機の照準器のエピソードも面白い。おそらくノルデン光学照準器だったのだろう。

びす男

第二次大戦で活躍したカメラマンの手記が、その実相を活写している■有名なノルマンディー上陸作戦の写真は、ちょっとピンぼけ。「キャパの手はふるえていた」のキャプションもまた、第一線の過酷さを示している■それでも、兵士は朗らかさを失わない。どこか笑えないジョーク、銃後の人々に託す手紙。彼らにとって、戦争は現実そのものなんだと思わされた■「私は戦死する最後の男の写真を撮った。生き残ってゆくものは、死んでゆく彼らをすぐ忘れ去るのだろうか」。キャパの述懐はときどき切ない。戦争を切り取る男の、やりきれない本心だろう。

2018/01/01

ヴェネツィア

再読。"愛した!撮った!散った!"―永遠の戦場カメラマン、キャパの従軍記。ある時は空挺部隊と一緒にパラシュートで降下し、そしてDデイには上陸舟艇で真っ先にノルマンディーに上陸。文字通り波乱万丈の日々を送ったキャパだが、その眼差しは暖かく、どんな時にもユーモアとウイットを失なうことはなかった。そんな彼は1954年、ハノイ南方の戦場で地雷に散った。41年の華々しくも短い生涯だった。なお、表紙はDデイの日の「ちょっとピンぼけ」の写真。「そのとき、キャパの手はふるえていた」。

2012/10/01

aika

「生き残ってゆくものは、死んでゆく彼らをすぐ忘れ去るのであろうか。」戦争の中に生き、戦争の中に死んでいったキャパ。爆撃の中、戦闘機からパラシュートで飛び降りる勇気を持つ彼が語る、兵士との賭け事やお酒、ピンキィとの恋愛話は人間味に溢れています。あまりに残酷な惨状を前し、時には震える手でシャッターを切り、時には写真を撮らなかった彼の素顔を覗いた気分です。初めてキャパの写真を美術館で目にしたとき、戦地で闘う兵士やそこに住む人々の表情が、なぜ心に焼き付いて離れなかったのか、少し分かったような気がします。

2019/03/08

シュシュ

キャパはユダヤ人の強制収容所では写真を撮らなかった。残虐な写真はこの恐怖の全体的効果を弱めるだけという。残虐な写真よりも、キャパが撮った小さな棺から出た子どもの遺体の足の方が心に残ると思う。顔に裂傷を受けた兵士から「写真屋、どんな気で写真がとれるんだ!」と言われてキャパはカメラを閉じて、報道写真家でありながら同時にやさしい心を失わないでいることの難しさについて自問自答する。失神して病院に運ばれ、隣のベッドの兵士と、「俺こそが臆病者だ」とお互いに言い合う場面もあった。ユーモアも挟まれたいい本だった。

2017/01/10

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