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空白の天気図 (文春文庫 や 1-20)

空白の天気図 (文春文庫 や 1-20)

空白の天気図 (文春文庫 や 1-20)

作家
柳田邦男
出版社
文藝春秋
発売日
2011-09-02
ISBN
9784167240202
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空白の天気図 (文春文庫 や 1-20) / 感想・レビュー

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yoshida

昭和20年9月17日、巨大な枕崎台風が日本を襲い約三千人の死者不明者を出す。原爆の被害により広島市は壊滅的な被害を受けた。行政機関や報道機関も機能は回復途上にあり気象台からの情報を住民に伝えることが出来なかった。この要因もあり、広島県は被害の大半である約二千人の死者不明者が出た。そんな中、自身も被爆しながら観測と聞取り調査を続けた気象台の職員達の記録が、「黒い雨」の被害の認定に大きく活きることになる。原爆の被害を受け、更に巨大な台風の被害を受ける広島の人々の何とむごいことか。読まれるべきノンフィクション。

2018/08/05

へくとぱすかる

枕崎台風は、原爆のわずか一ヶ月後に広島を襲い、命拾いしたはずの被爆した人々の命を奪った。上陸した九州各地よりも広島の被害がひどかったのは、ライフラインや通信が原爆で失われていたのが大きな原因。原爆と終戦のショックの中にあっても、気象台では職員が観測を続け、通信手段がなく警報を出せない中、できうることをやり遂げた。その人々も原爆症に倒れていく……。戦争と災害との苦しい情況は、今なら想像もつかないだろう。正面からの戦争批判こそ書かれていないが、どれほどの悲惨を生むかを世代を超えて伝える貴重なドキュメント。

2021/01/13

goro@80.7

事件や事故は必ず風化してゆくのだろうが記録は残さなければならない。8月6日に広島に落ちた原子爆弾は想像を絶する戦火であった。焼野原となった広島、毎日原爆症で死んでゆく人たち、懸命に救助してゆく人たちに襲い掛かったのは枕崎台風と言う名がつけられた大型台風による災害だった。天気予報は戦争が始まってからは軍の管制下にあり人々が知ることもなかった。終戦時においては各気象台も戦禍で機能しているところも少なく、台風の全貌も分からず避難など考えも及ばない状況で2千名もの人命を奪ったのだ。それでも測候を続けていた

2022/08/13

James Hayashi

史上空前と云われる室戸台風(昭和9年)に匹敵する台風が原爆投下直後の広島を通過し二千名の死傷行方不明者を出した。これを調査し記録として残したのが広島気象台隊員たち。天候だけでなく原爆被災の記録も残し黒い雨の降雨地域の拡大も認識させている。原爆で被災しながら業務をこなす台員。業務の合間には原爆の凄まじさを記録する。報告書が纏められたが得意な点は災害研究に役立つようxx氏談と聞書きを多用している。後世を生きる我らの記憶に残りやすく対処しやすいと思う。

2017/12/26

🎈newみなみ🎈

大学のレポートに必要だったので読了。広島での原爆の話はメディア等を通してよく聞くが、そのわずか1ヶ月後に来た規格外れの台風、枕崎台風による被害の話はあまり話題にならないので、この本で初めてその全貌に触れた。気象台の人々、研究者達を中心として描かれており、原爆や台風による大災害の中で信念を持って自分の仕事を黙々と続ける姿には感動した。また、このような題材なだけあって生々しく、当時の人々の状況を思うととても胸が痛んだが、現代を生きる中で、核や戦争を遠いものと感じてしまっている私なので、読んで良かったと思う。

2020/07/31

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