水脈 (文春文庫 た 8-9)
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水脈 (文春文庫 た 8-9) / 感想・レビュー
James Hayashi
女流文学賞受賞作。官能と夢幻のアクアファンタジーと帯にあるが。恋愛もファンタジーもあまり感じない。あまり著者らしさを感じないが、幾つか味わいがある作品が詰まった短編集。
2019/07/03
辛口カレーうどん
水をモチーフにした短編集。恋愛小説かと思っていたが、幻想小説だった。小舟がたゆたう水面を、薄暗い水底から見上げているイメージ。小舟に乗っているのは誰だろう。過去の恋人?友人?もしかしたら誰も乗っていないのかもしれない。官能的だが、冷ややかな作品だった。
2018/04/22
あ げ こ
全てのものを受け入れ、そこに漂い続けることを許す優しさ。全てを遮り、全てのものを覆い尽くしてしまう厳しさ。その色合いや形を変え、多くの表情を見せる水は、巡り続ける命の輝きを、情愛が生み落とす悲しみを、濃密な性の交わりを、美しく、また官能的に彩る。平素は触れる瞬間でさえ、気にもとめずにいるような、生々しい身近さを持ったものたちによって、不意に煽られる熱。水が誘う幻想世界への、艶やかな期待。たっぷりと水分をその内に含んだ言葉。語られる情景の穏やかさ、濡れて光る悦びの煌きに心は満たされ、ゆっくりと潤っていく。
2014/06/30
ばにらん
小説タイトルはすべて2字の漢字でつけられ、それを纏めた本のタイトルが水脈。水で連なる10の短編。目眩が起こりそうな幻想的官能的な描写。いつのまにか夢の中に入っているような展開に撹乱される。大人向けの童話だなあ、これはという話もあり涙腺が緩む。
2011/10/16
つっぷー★
水をテーマにした幻想的な短編小説集。 序盤の『浮揚』『傷口』などは、幻想的な中にも秘めたる感情のあふれが なまめかしくて秀逸だったけど、後半の作品は、 次第に現実離れした作品が増えてきて、全然ついていけなくなった。 シュルレアリズム小説か、他人の夢の内容を延々と聞かされてる気分。 この一冊を連作と考えたら、プラマイゼロの評価。
2013/10/01
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- 出版社
- 光村図書出版
- 発売日
- 2022-08-05
- ISBN
- 9784813804147