KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

透光の樹 (文春文庫 た 8-13)

透光の樹 (文春文庫 た 8-13)

透光の樹 (文春文庫 た 8-13)

作家
高樹のぶ子
出版社
文藝春秋
発売日
2002-05-10
ISBN
9784167373139
amazonで購入する Kindle版を購入する

透光の樹 (文春文庫 た 8-13) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

おしゃべりメガネ

読メのレビューで気になり手にとった作品で、初高樹さん作品です。さすが【谷崎潤一郎】受賞作品だけあって、性の描写はとにかく美しいの一言です。ストーリー云々ではなく(面白くないという意味ではなくて)とにかく中年男女の微妙な間合いというか距離感、男女それぞれの目線や思いで綴られる文章は、かなりクオリティの高いものと感じます。性描写が若干多めに書かれているので、NGな方はNGかもしれませんが、その芸術とも言える文章にひたすらのみこまれてしまいそうになります。要は桜木紫乃さんのさらに熟年版といったところでしょうか。

2016/03/08

ミカママ

あー、エロいなぁ(最高の褒め言葉)。次々に読者を魅了する男女の性愛周辺の名文に、ノックアウト。中でも、「恋愛を好色から切り離すのは、欠落感やかなしみの感情である」に120%同意。ラスト...これがまた。もしも自分と自分の愛する人に同じことが起こったら、と居ても立ってもいられない気持ちにさせられました。やっぱいいねぇ、女性作家による恋愛小説。

2015/09/05

新地学@児童書病発動中

透光の樹という詩的なタイトルに惹かれて読んでみた。究極の恋愛小説の一つだと思う。体が震えるほどの感動を覚えた。テレビの制作会社の社長今井郷は、25年ぶりに再会した崎千桐と恋に落ち、逢瀬を重ねるようになる。性愛の場面が大胆に何回も描かれるが、エロティシズムより哀しみを強く感じた。二人が五十近くで、死を意識する初老の年代に入りつつあるからだろう。千桐の父は病床にあり、二人のこれからを暗示する存在である。自らの死を悟った郷が最後に千桐と逢う場面は、涙なしでは読めない。この時に二人は真の意味で一つになるのだ。

2016/09/18

じいじ

この小説は、高樹のぶ子の最高傑作に間違いない、と8年ぶりに再読して改めて思った。北陸の地で芽生えて、激しく燃えあがり、そして成就するオトナの恋物語は凄絶です。TVディレクターで手練手管に長けた男が、必死に追い求める心の裡は、男の下心が見え隠れするけれど、彼女へのその本心は純真そのものである。「今晩は、彼女を抱けるのだろうか?」と妄想する男の胸の中を、著者は憎いまでに見事に美しく描いています。冬の白山、雪の平泉寺を訪れてみたい。

2020/11/13

びす男

あまり登録されていないが、一気読みできるほど面白かった。恋愛小説だが、かなり真摯に性愛ということを扱っている。言葉や仕草などで愛する人を思い出すことがあるならば、身体で相手を覚えてしまうというのも、やはり一つの愛のかたちなのだろう。身体目当て、というとなにかと悪い印象のほうが強いが(実際その通りのことの方が多い)、単純に考えて互いの身体を求めるというのも素敵なことなんだと思う。

2016/11/16

感想・レビューをもっと見る