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黒パン俘虜記 (文春文庫 く 3-1)

黒パン俘虜記 (文春文庫 く 3-1)

黒パン俘虜記 (文春文庫 く 3-1)

作家
胡桃沢耕史
出版社
文藝春秋
発売日
1986-01-25
ISBN
9784167402013
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ジャンル

黒パン俘虜記 (文春文庫 く 3-1) / 感想・レビュー

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遥かなる想い

第89回(1983年)直木賞。 著者の実体験を基に、 モンゴルでの収容所での日々を 描いた物語である。ヤクザの小政が仕切る 収容所の掟が 重いが、軽快に描かれる。 時折 挿入される 映画への想いは 時代の 風景が反映され、なぜか 懐かしい。 引き上げ時の 日本人の情けなさが 印象的な 作品だった。

2018/08/07

kaizen@名古屋de朝活読書会

直木賞】題名はなんかの例えかと思って読み始めた。本当に俘虜になり、本当に蒙古の黒パンが出てきてびっくり。略歴を見ると「シベリア抑留」とのこと。実体験に根ざしているだけに現実味があるんだ。

2014/05/13

まつうら

シベリア抑留によってモンゴルの収容所に送られ、強制労働に従事させられた日本人の物語。何より凄いと思ったのは、食への執着心。食べる感覚を楽しむため、左向きに寝転がって食べることからして、とても異様な雰囲気が漂う。やがて食べる感覚は中毒化し、胃袋が破裂しても食べ続け亡くなってしまう人が出る。こんなところでは、互いを助け合う余裕はなく、人間関係が殺伐となってしまうのも想像に難くない。でも強制労働から解放された帰国の途上で、思いやりと助け合いの精神が戻ってきたのにはホッとした。やっぱ生きるには希望が必要なんだよ。

2022/11/27

空猫

【第89回直木賞】敗戦後捕虜となりモンゴルの収容所から帰国するまでの体験記。飢え、寒さ、過酷な労働、理不尽な暴力と搾取…と無論酷い事ばかりだが、ともかく「ぼく」のそれは根っからの明るさ、生き抜いて日本に帰るという逞しさでそれほど暗くならず無理なく読めた。どんな場所でも人が集まればヒエラルキーが発生し、時にはズルく立ち回ることも必要だったり。最後はやはり「助け合い」だった。衣食が整って初めて人が人らしくなれることも。絶版らしいが今だからこそ読んでほしい一冊。

2021/09/07

hit4papa

大戦終結時、モンゴルの収容所に囚われた青年の、なんとも悲惨で鬱勃とした日々が描かれた作品です。先の見えない抑留生活で、日本人同志の新たなヒエラルキーが確立され、搾取、理不尽な暴力、そして死がまかり通ります。この手の作品は戦勝国による非人道的な振る舞いが物語の中心になりがちですが、本作品は日本人の暗黒面の気質そのものを問うているようです。悪夢ともいうべき登場人物のエピソードの数々は不快感がつのります。昭和50年代後半の作品ということもあるのでしょうが、それほど湿度が高く感じないのが不思議です。【直木賞】

2017/10/26

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