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少年譜 (文春文庫 い 26-16)

少年譜 (文春文庫 い 26-16)

少年譜 (文春文庫 い 26-16)

作家
伊集院静
出版社
文藝春秋
発売日
2011-11-10
ISBN
9784167546168
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少年譜 (文春文庫 い 26-16) / 感想・レビュー

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chimako

これは少年の話ではあるが大人が読む本である。必死に、真摯に、真面目に、強く、静かに少年は大人になる。ある時自分を作り上げたものに気づき、あの時の自分に身悶え、支えられたことに感謝し涙する。女として生まれたことに爪の先ほどの後悔もないが、伊集院氏の少年の話を読む度に「男の子に生まれたならもっとわかることがありそうだ」と思う。七つの短編。大人の男子にすすめたい。

2013/09/21

シュラフ

少年時代ものというのはどうしてこうも読んでいて胸がせつなくなってくるのだろうか。少年というのは 世間知が足らずに目の前の出来事を理解することはできないし、また大人のようにおこったことを言葉として整理することができない。少年というのは出来事を感じるものなのである。そして少年がやがて大人になって、世間知を積み、出来事を整理する言葉を覚えることで、やっと少年の頃に感じたことを理解できるようになるのだろう。この短編集を読んで、自分の少年の頃のことを思うし、息子がいま何を感じてるのかと思ってしまった。

2015/03/17

Mijas

入試問題に採用されたので読んでみたが、7編とも心が洗われる良作。どこか懐かしさを感じるのは、古き良き日本人の姿が描かれているからだろうか。誠実で真面目、謙虚。ただひたすら真摯に励む姿は美しくもあり、読者に力を与えてくれる。どんなに辛くても「耐えて励め。おまえにはできる。」との和尚の言葉を胸に賢明に生きる少年に涙せずにはいられない。苦しくても弱音を吐かない。必ずいいことがやってくると信じて。沈黙は人を哀しませないためにある。日本人の美徳といったものや自分が忘れかけていたものを思い出させてくれた。

2015/02/06

seiko★

七つの短編集。一途に一生懸命頑張っていれば、きっと道は拓ける、希望あるお話。少年譜の和尚の「なお、励め」が心に沁みる。古備前の、大人たちの少年に対する思いやりに胸が熱くなる。親方と神様の親方の、ひとつひとつの言葉が少年の心を聡、心を育てた。「今すぐできんでも、ひとつひとつ丁寧に集めていけばいつか必ず出来るようになる。」この親方の言葉を心に、製鉄会社を作り上げた少年。十代の子に是非読んでもらいたいお話です。

2020/03/18

雪丸 風人

商家の軒下に置き捨てられた竹籠の中には赤子の姿があった。その家に出入りする老夫婦に引き取られた子は、寺の住職にも支えられながら山中の小屋での暮らしを始める。不運にも山でマムシに噛まれ手が不自由な身となったが、僧について読み書きや算数を一生懸命に学んだことが、少年の運命を大きく動かすことになる。 短編集ですが、表題作が圧倒的に面白いです。ホタルの飛び交う川岸で笛を奏でるシーンが特に印象に残りました。節目節目で「耐えて励め」「なお、励め」と言葉をかける住職の優しさもいいです。 (対象年齢は15歳以上かな?)

2019/09/06

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