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コルシア書店の仲間たち (文春文庫)

コルシア書店の仲間たち (文春文庫)

コルシア書店の仲間たち (文春文庫)

作家
須賀敦子
出版社
文藝春秋
発売日
1995-11-10
ISBN
9784167577018
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コルシア書店の仲間たち (文春文庫) / 感想・レビュー

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ケイ

作者のミラノ在住時代、公的にも私的にも、 というか彼女の生活であったコルシア書店に関わる人達の話がつらつらと書き連ねられている。書店のパトロンヌであったツィア・テレーサ夫人(入口のそばの椅子)がとても魅力的。得体がしれないが惹かれてしまうミケーレ(大通りの夢芝居)、ドイツ人と結婚したニコレッタの親離れの出来なさ(家族)、関係する女性が魅力的なガブリエーレ(女友だち)が、特に印象に残る。ほぼ各話でその死に触れられるのに、その多くは語られない死別した夫の事が、喪失感の果てなさを思わせた。

2018/09/04

ヴェネツィア

1950年代から70年代にかけて、ミラノの現代文学や思想の最先端の人々と共に過ごしていた須賀敦子の回想。『ミラノ霧の風景』でもそうだが、彼女のエッセイは時に暗く沈鬱でさえあるのだが、街の描写も人との交流も限りない深みと静謐感とを感じさせる。ここにあるのは、音のしない静かで思索的なイタリアだ。

2012/03/16

aika

とても素敵なエッセイでした。風変わりな天才詩人トゥロルド司祭を中心に、聖俗の垣根や身分差を超えて、人々に愛されたコルシア書店。ミラノの目抜通りの書店で交錯する、自らの意思で変えることのできない、出自やルーツに悩む人たちの日常の断片が、丁寧な文章で綴られていて、それぞれの人生にそっと寄り添っているような気持ちになりました。仲間同士がやがてすれ違い、別れ、それぞれの道を歩むことは哀しいことだけれど、言葉の端々に著者の生きることへの愛のような優しい感情が伝わってきて、胸が切なく、そして温かくなりました。

2018/06/28

aika

今は遠く離れて、そこには無くなってしまったものたちを思う時、哀しみと伴に流れ込む優しさのようなものがただ心に募ります。カトリックの理想の共同体として誕生したコルシア・デイ・セルヴィ書店。階級や出自に関係なく書店を賑やかした人びとの人生のかけらが30年の時を経て、須賀さんの手でささやかに生き返ります。革命の大きなうねりに呑み込まれ、精神性も形も失うコルシア書店の運命は心苦しいですが、戦友ルチアを密かに慕い続けたカミッロの後姿をまとう朝霧を思い浮かべたら、哀切ばかりではない彼らの人生が愛おしく感じられました。

2020/03/23

奥澤啓

須賀さん、どうして死んじゃったんですか。イタリア文学の翻訳家として端正で上品な訳文でわれわれを魅了してくれた貴女が、『ミラノ霧の風景』を出したのは1991年。62歳の時でしたね。それから69歳でなくなるまでの短いあいだに貴女がわれわれに届けてくれたエッセイの数々は、美しい装丁とともに、どれだけの日本人に愛されたことでしょう。須賀さん、貴女は、人を大切にし、言葉を愛し、慈しんだ人でした。そういう、生を愛し、深く、静かに、生きた人が、現代の日本にいた事。それは日本人の誇りです。 時よとまれ汝は美しい。

2014/12/23

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