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豚の報い (文春文庫 ま 13-1)

豚の報い (文春文庫 ま 13-1)

豚の報い (文春文庫 ま 13-1)

作家
又吉栄喜
出版社
文藝春秋
発売日
1999-02-10
ISBN
9784167618018
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豚の報い (文春文庫 ま 13-1) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

1995年下半期芥川賞受賞作。豚がスナック「月の浜」に闖入したことによって、そこで働く女たち3人は、主人公の正吉と真謝島に向うことになる。いわば厄落としのためである。池上永一なら、ここからファンタジックに物語が展開して行くのだが、又吉はあくまでもシリアスである。沖縄に独特の御嶽は、ここでも重要な役割を果たしているし、全編が沖縄の濃密な風土の中にある。ただし、その「語り」はあくまでも共通語だ。「何か馬鹿馬鹿しいけど必死に生きている」3人の女たちが哀れでもありながら、そこに強烈なリアリティが浮き上がってくる。

2013/06/20

遥かなる想い

第114回(平成7年度下半期) 芥川賞受賞。 大学生の正吉が、豚の闖入の厄を 落とすために、スナックの女3人と 真謝島に行く様を描く。 底抜けに明るいのは、沖縄に 生きる人々の力なのだろうか。 積もりきった罪を払うという 発想は民話に基づくものなのか。 正吉の眼を通して、必死に明るく 生きようとする沖縄の女性たちを 軽やかに描く…そんな話だった。

2014/07/19

kaizen@名古屋de朝活読書会

芥川賞】沖縄を意識する小説。ユタ(霊能者)マブイ(魂)ウタキ(御嶽)にウガン(御願)。真謝島へ。発端の豚に始まり、沖縄を満喫。沖縄で再読したい。

2014/06/23

hit4papa

タイトル作は、豚の厄祓いのために聖なる島を訪れた三人のホステスと、彼女らを先導する大学生の数日を描いた作品。舞台は風葬が行われている架空の島。店に闖入してきた豚が災厄の象徴とするのも、ホントなのか判然としませんが、聖と俗の混淆がうまく著されています。旅行気分の女子たちとユタもどき男子は、またまた豚のためにトラブルに見舞われるという展開。下世話なシーンが続くものの、ラストは神さまのいる島らしい気分に浸れます。「背中の夾竹桃」は、沖縄を舞台としたハーフの美しい女性と米軍兵士の恋愛小説。湿度が低いのが良い。

2023/03/29

yumiha

スナック「月の浜」に侵入した豚の厄災を逃れるために真謝島の御嶽(ウタキ)へ向かった正吉とスナックのママとホステス2人。まだ学生の正吉の繊細さと比べて、3人の女たちのたくましいこと。よく吞みよく食べよく喋り、学生の正吉には驚くような過去を持ち、悩み、生き抜いてきた。このしたたかな3人に真謝島の民宿のおかみまで加わるから、ハチャメチャなやりとりが楽しい。もう1篇の「背中の夾竹桃」はアメリカ軍人だった父を持つミチコが、ベトナム出動を目前に控えたGIジャッキーとの落ち着かない日々を描く。

2023/12/12

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