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風に舞いあがるビニールシート (文春文庫 も 20-3)

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫 も 20-3)

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫 も 20-3)

作家
森絵都
出版社
文藝春秋
発売日
2009-04-10
ISBN
9784167741037
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風に舞いあがるビニールシート (文春文庫 も 20-3) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

表題作は第135回直木賞受賞作。本書は他にも5つの短篇から構成されるが、森絵都さんの勉強家ぶりが余すところなく発揮された小説が並ぶ。美濃焼、国文学、仏像修復等々。しかし、やはりそれらの中でもとりわけ力の入っているのが「風に舞いあがるビニールシート」だろう。エドと里佳とを巧みに対照させ、一方では国連難民高等弁務官の仕事を伝えながら、いとも巧みに読者を小説世界に引き込んでいく。しかも、強引な力技ではなく、実にスムーズに。どこか浪花節めいてはいるなと冷めた目で眺めながらも、つい涙腺が緩んでしまう、そんな作品だ。

2015/05/21

青葉麒麟

どの短編集もサラサラ読めた。桃のプディングを載せるお皿を必死に探す【弥生】は可哀想。

2011/09/26

風眠

誰にでも「譲れない何か」はあると思う。その「何か」は、他人にとっては「どうでもいい」ことかもしれない。それでも譲れない、大切で切実な「何か」は、その人の芯を支えていると、私は思っている。たとえそれが「ポテトサラダにリンゴは入れない」という程度でも、譲れないものは譲れないと思うのが人間だと思う。お互いに譲れなくて、ぎくしゃくしてしまう事もある。それでも、自分だけの価値観を持ち、大切にしている人は、やはりとても魅力的だと私は思うのだ。これはそんな「譲れない何か」を守って生きている人達の、不器用で愛らしい物語。

2017/09/20

さてさて

6つの短編から構成されたこの作品。〈風に舞いあがるビニールシート〉だけがかなり異質な内容となっています。主人公の里佳が転職先として選んだ先が『国連難民高等弁務官事務所(UNCHR)』だったこと、面接官だったエドとの出会いが、その後の里佳の人生を大きく変えていきます。『世界が今のまま機能しつづけるかぎり、難民は決してこの地球上からいなくならない』と語られるリアルな現実。その仕事に就くことがまさしく人生を賭けたものであるということをいやが上にも浮き上がらせる森さんの強い思いに裏打ちされた素晴らしい作品でした。

2022/04/10

Atsushi

朝夕満員電車に揺られ、会社でマンネリ化した仕事を淡々とこなす毎日。そんな自分を元気づけてくれた六話からなる短編集。主人公の凛とした姿が爽快だった。お気に入りは、表題作と「ジェネレーションX」。二人の元高校球児の明日の試合は大丈夫か。短編ながら読み応えあり。第135回直木賞受賞作。

2017/07/29

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