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あまりにロシア的な。 (文春文庫 か 58-1)

あまりにロシア的な。 (文春文庫 か 58-1)

あまりにロシア的な。 (文春文庫 か 58-1)

作家
亀山郁夫
出版社
文藝春秋
発売日
2013-01-04
ISBN
9784167801816
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あまりにロシア的な。 (文春文庫 か 58-1) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

読み始めた途端に自分が20世紀のロシア(ソ連)の文化に関して如何に無知であり、また関心を向けてこなかったかを痛感することになった。作家ではせいぜいパステルナークとソルジェーニツィンくらい。筆者の主たる研究対象のマヤコフスキーは名前しか知らない。美術方面は壊滅。音楽もショスタコーヴィチとハチャトゥリアン、グラズノフ、しかもショスタコーヴィチ以外は聴いたことはあっても明確なイメージまでは結ばない。19世紀ロシアの方がはるかにましである。もちろん、モスクワやペテルブルクの状況なども雲霞の彼方というありさま。

2022/02/21

中玉ケビン砂糖

、じっくりと時間をかけて読んだ、USSR、GPU、KGB、CKなど、ロシアには星の数ほどの略号が存在する、「内面の脆弱さを覆い隠す都合のよい盾」「それぞれの略号に象眼細工のようにはめこまれた『ゲー』のおどろおどろしい響き、それはまさに『国家』のイニシャル、国家の義眼に他ならない」という箇所は成程と思った、ロシアとはまだ言えないソ連崩壊直後のこの凍えるような国は、記号でできたもろい積み木の塔でもあった……、独裁国家が倒れたからといってもちろんすぐに雪解けの春が訪れるわけでもない

2015/08/14

tsubomi

2017.03.30-05.31:著者がロシアに住んでいるときに見聞きしたことや感じたことをランダムに配置した本。ロシア文学を研究している者として作家を深く掘り下げて追究していく姿勢と考えすぎなくらいの思索の跡がうかがえるエピソードが多く、ときには困惑したり・・・。印象的だったのはヴォルガのデルタ地帯であるアストラハンに旅したときのこと。空気や水の音、静けさまでが実感できそうなほどの風景描写に身を委ねて自分もそこにいるかのような錯覚に陥るときの快感があります。

2017/05/31

おとん707

タイトルから想像するようなロシア人気質についての随想ではなく筆者が1994‐5年に留学した際の研究に纏わる話が多いので予備知識が乏しい私には難しかった。あえて言えば当時のチェチェン紛争について筆者は「ロシア軍はチェチェン領内に入り…軍事行動を開始したのだ。(チェチェン側は)ロシアとの交渉はロシア軍が領内から撤退した後でのみ応じると宣言した。この宣言を受けて、ロシア軍の猛攻が再開され…」と追想している。いつも力による解決しかないのがあまりにロシア的ということなのか。ロシア人みんながそうではないと思いたい。

2022/03/17

ぱなま(さなぎ)

大統領候補が暗殺され、地下鉄の入口に貧者が野鳩の群れのように屯する不安定な政情をよそに、文学全集の枝葉末節について討論する文学関係者たちのコントラスト。コラージュという形式を取ることにより、多面的な当時ロシアの表情が抽象絵画のように浮かび上がってくる。レーニン廟の内部についてマレーヴィチの絵画との共通項を指摘した箇所はエキサイティングだった。著者がロシア語に堪能なのは当然といえば当然なのだが、ロシア人たちのウォッカの飲みっぷりに着いて行くばかりか冗談合戦にまで負けじと加わっていくのだから凄い。

2015/07/28

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