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婚礼、葬礼、その他 (文春文庫)

婚礼、葬礼、その他 (文春文庫)

婚礼、葬礼、その他 (文春文庫)

作家
津村記久子
出版社
文藝春秋
発売日
2013-02-08
ISBN
9784167854010
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あらすじ

大学時代の友人結婚式に出席中、上司の親の通夜手伝いに呼び出されたОLヨシノ。
二次会幹事とスピーチを相方に押し付け、喪服に着替えて急きょタクシーで葬儀場へ。
既に大多数の社員が集まり、打ち合わせを重ねるなか、ヨシノを猛烈な空腹感が襲う。
「マジマ部長の親父とやら、間が悪すぎる…もう一日ぐらいなんとかならなかったのか」
ヨシノのてんやわんやな一日はまだまだ続く。芥川賞候補作。

09年に「ポトスライムの舟」で芥川賞、11年に「ワーカーズ・ダイジェスト」で織田作之助賞を受賞し、
いまもっとも乗っている女性作家の傑作中篇。「冷たい十字路」を併録。
解説・陣野俊史

婚礼、葬礼、その他 (文春文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

2つの中編を収録。表題作の「婚礼、葬礼、その他」は、タイトルがパッとしないけれど、小説としての完成度は高いし、この作家らしい個性にも溢れている。日頃は、ほとんど無意識のうちに都市生活を営んでいる主人公のヨシノ(我々も)だが、こと冠婚葬祭となると、俄かに旧態依然とした村落共同体的な因習に囲まれることになる。ヨシノという、ちょっと古風な名前もそうしたことを反映しているのだろう。また、後半の「冷たい十字路」は一転して、共同体の紐帯を喪った都市生活の孤独を、1つの事故を通して、これも実に巧みに描きだしてみせた。

2013/06/29

新地学@児童書病発動中

津村さんの初期の2つの中編。表題作は結婚式と葬式の両方に出席する羽目になった女性の話。もう一つの「冷たい十字路」は学校の近くにある危険な十字路をめぐる人々の想いを描く。2編とも地に足の着いた感じがとても良い。「婚礼、葬礼、その他」は主人公の女性が空腹に悩まされる場面で笑ってしまった。人間は健康だったら、どんな時でもお腹が空くのだ。空腹になることは、苦しいことや悲しいことがあっても、この世で生きていくことにつながるのだと思う。「冷たい十字路」はさまざま立場の人々の内面の描き分けが、恐ろしく巧い。 

2016/06/07

めしいらず

表題作よりも併録の「冷たい十字路」が良かった。時間に急かされ、何となく殺気立った雰囲気ただよう毎日。誰もが思うように運ばぬ物事に苛立ちを募らせている。捌け口を探すそのネガティブな感情は、ふとした刹那に容易く発露してしまう。ぶつけたその感情は、人にたちまち伝播する。そして連鎖していく。誰もが自分さえ良ければいいと思っている。あの日自分を苛んだ他人に不幸が訪れるのを、心のどこかで待っている。私はこの殺伐とした現実の空気に萎れ、同時に自分をその輪の中に見つけてしまう。ひたすらに辛いけれど、目を逸らせない物語。

2015/09/24

なゆ

ああ~、ヨシノったらなんて人が良いんだ…と思わずにいられない。旅行をキャンセルして友人の結婚式のスピーチ&二次会幹事を引き受ける、これはワカル。が、その当日その直前に、上司の父親の通夜に召集されるとは。〝呼ぶことはできなくても、頻繁に呼ばれる人生〟そんな自分の運命を呪いながら、空腹をかかえて奔走するヨシノの一日がちょっぴりコミカルに描かれている。通夜の会場での人間関係もてんやわんやなら、結婚式の方もてんやわんや。ヨシノ、ほんとにお疲れさん、と言ってあげたい。もう一篇の「冷たい十字路」は、ヒンヤリした話だ。

2014/11/16

巨峰

津村さん初読み。すごくいい!!表題作は、大学時代のサークルの友人の結婚式に出席し二次会の幹事をする予定だったその当日に会社の上司の父が急逝し急遽結婚式を中座することになったOLの半日を描いた松竹映画になりそうなドタバタ劇。とても短い小説なのに、サークルの友達・先輩や上司の家族・生意気な孫娘・故人の愛人二人と登場人物も多くて、それでいて個性豊かで実在感がある。そしてドタバタ喜劇でもあり、鋭い風刺劇でもあり、そして、祖父母を想い涙を誘う小説でもあり。いろいろと読んだ人の解釈で意味を考えられる小説になってる。

2013/02/09

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