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花鳥の夢 (文春文庫)

花鳥の夢 (文春文庫)

花鳥の夢 (文春文庫)

作家
山本兼一
出版社
文藝春秋
発売日
2015-03-10
ISBN
9784167903183
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花鳥の夢 (文春文庫) / 感想・レビュー

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W-G

天才絵師なのだろうが、この物語だと、そこそこ出来る名門の御曹司程度の印象。どちらかといえば秀才型で、才気走ったところは少ない。品質度外視の過酷な納期を休みなく繰り返していることや、そもそも権力者の注文で金箔を貼りたくった屏風や襖というのが、文字だけだと浅ましい成金趣味以上の表現に行き着いていない等々、永徳自身の小物臭い人物像とあわせて、共感や感銘には至らりづらい。等伯の嫁のくだりの必要性も疑問。しかし、芸術家の身の内なんてものはこんなところなのだろうと、納得させる生々しさはしっかりと描破されている。

2020/07/30

ケイ

安部龍太郎『東伯』を読み、そして国宝展で永徳『花鳥図』東伯『松林図』を観て、また京都の路や寺が知っているところが多いため、読みながらその場にいるような気になった。狩野の家に生まれ、一派を率いる重圧感、天才であるがゆえに伝統の技法から大きくはみ出ることが出来ないつらさ、そして描いても描いても戦のたびに焼けてなくなってしまう悔しさや虚しさ。しかし、彼の『花鳥図』からは美しさ、壮麗さしか感じなかった。それがまさに狩野の絵なのかもしれないと、改めて思う

2017/11/08

はたっぴ

故・山本兼一さんの作品は今回も期待を裏切らなかった。戦国時代は武将だけでなく、絵師の世界も群雄割拠の世だったことがわかり、迫力ある描写に感動しきり。20代の頃から頭角を現し、信長や秀吉から寵愛を受けた狩野永徳が、ライバルの長谷川等伯を追い落とそうとする姿に嫉妬や執着を感じ、息苦しくなるほどだった。ここまで気位が高くなければ、狩野一門を背負って名を馳せることは出来なかったのだろう。等伯の作品に憎悪を抱きながらも魅了されてしまう永徳の苦悩と、絵師としての自負心に圧倒された。安部さんの『等伯』も読んでみたい。

2016/03/07

thayami

本質を知るが故の苦悩。本音と建前で生き抜くも、その本質を知る人間との出会いが安堵にもなり、恐れにもなる。信長、宗易、そして父・直信。一挙手一投足に神経を使う心情描写と、一歩ずつではあるが”前進”する過程が印象的。信春との再会からの”新たな”旅立ち、解釈はどちらとも取れるが、本質に向けられることを信じたい。一方、タラ・レバが許されるのであれば、きよとの時間が異なったものであれば、本質への道も中身も変わっていた気がしてならない。芸術家故の孤独感?いや何かが違う気がする。

2018/01/13

浅葱@

絵を描くのは永徳だが描かせるのは時の権力者。気に入ってもらえ、尚且つ自分が納得する作品としての絵。その構図からの葛藤や対峙の中で絵を物にする永徳の力が凄い。そこまでして描きたい絵師としての業。芸術への昇華。等伯の存在。命を削りながら絵に向かう永徳の生き方はひとつの芸術論の様にも思えた。安倍龍太郎『等伯』には、どんな等伯がいてどんな芸術があるのだろう。また、解説の澤田瞳子さんは『若冲』の作者でもある。山本兼一『花鳥の夢』に当りながら、絵師の夢を読みたくなっている。その前にこの時代の絵をゆっくり見てみたい。→

2015/07/20

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