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離陸 (文春文庫 い 62-3)

離陸 (文春文庫 い 62-3)

離陸 (文春文庫 い 62-3)

作家
絲山秋子
出版社
文藝春秋
発売日
2017-04-07
ISBN
9784167908287
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離陸 (文春文庫 い 62-3) / 感想・レビュー

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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

ひとりの人の人生というものが描かれているような気がした。でもあまりにも死が多くて悲しい。こんなにたくさんの死が必要なのかと理不尽に思うような。

2020/12/24

かみぶくろ

そもそもこの作家の特徴・個性を掴み切れてないまま読んだが、作品自体もなんとも不思議なお話で、読んでる間もどこに落ち着くのか見当がつかなかった。周囲の人間が死んでいくのを悲しんだり忘れたりする主人公だが、死の中心を外からグルグル眺めているようなイメージで、確かに死っていうのは自分の身に起こるものとして主観的に考えるのは困難で、外側からガラス越しに眺めるしかアプローチはないよなあと思ったり。死=離陸っていう爽やかげな表現は、当事者でないからこそ言える主人公のごまかし・慰め、という意味で納得できた。

2017/06/01

nico🐬波待ち中

佐藤の前に突然現れた見知らぬ黒人。「サトーサトー」行方不明の女優を探してほしいと語り出し、謎の「女優」探しの旅が始まった。「死」を飛行機の「離陸」に例える佐藤の言葉がとても印象的。滑走路に向かった飛行機がゆっくりと力強く滑走を始め、やがて悲しみを引きちぎるように飛び立っていく。まだ生きている私達は滑走路で離陸待ちの状態。私もいつかみんなに見守られながら無事に離陸できるだろうか?離陸し飛び立った後の行き先は…?死とは、生とは、人生とは…思いは果てしなく続いていく。じわりじわりと心に染み入る物語だった。

2017/10/02

goro@80.7

不思議な魅力に満ちた物語。サトーサトーのある意味冒険なんだろう。人と関わらずに生きる事は出来ない。それぞれの人との関わりの中で寄り添い、離れ、変化してゆく。誰もが同じ道を行けるわけはなく、自身もまた人との関わりの中で寄り添い、離れ、変化してゆく。そして残されたものは寂しいのだろうが、次に離陸してゆくのは自分かもしれない。同じ時を過ごしているのは奇跡に近い事なんだろうなぁ~と思った次第であります。謎は何も解決していないけどサトーサトーやブツゾウが穏やかであればと願うばかりです。

2019/05/07

サンタマリア

「みんな最後には飛行機みたいにこの世から離陸していくんだ」「飛び立って次の旅に行ったんだね」離陸というタイトルには文字通りの意味の他にこの死生観が含まれている。この小説ではしばしば人が死ぬ。誰かが絶えず離陸する。2つの意味で離陸する。絲山さんの魅力の一つであるひとの移動と死生観が上手に絡んだ傑作。村上春樹っぽさはあるが、これは彼女にしか書けないだろう。物語の謎はだいたい解決しないが読み終わりの感触はさっぱりしていた。とても面白かった。今年読んだ本でトップ。今年読むであろう本でもトップかな。

2021/05/13

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