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革命前夜 (文春文庫)

革命前夜 (文春文庫)

革命前夜 (文春文庫)

作家
須賀しのぶ
出版社
文藝春秋
発売日
2018-03-09
ISBN
9784167910310
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あらすじ

この国の人間関係は二つしかない。密告しないか、するか──。
第18回大藪春彦賞受賞作! 革命と音楽が紡ぎだす歴史エンターテイメント

バブル期の日本を離れ、ピアノに打ち込むために東ドイツのドレスデンに留学した眞山柊史。
留学先の音楽大学には、個性豊かな才能たちが溢れていた。

中でも学内の誰もが認める二人の天才が──
正確な解釈でどんな難曲でもやすやすと手なづける、イェンツ・シュトライヒ。
奔放な演奏で、圧倒的な個性を見せつけるヴェンツェル・ラカトシュ。

ヴェンツェルに見込まれ、学内の演奏会で彼の伴奏をすることになった眞山は、気まぐれで激しい気性をもつ彼に引きずり回されながらも、彼の音に魅せられていく。

その一方で、自分の音を求めてあがく眞山は、ある日、教会で啓示のようなバッハに出会う。
演奏者は、美貌のオルガン奏者・クリスタ。
彼女は、国家保安省(シュタージ)の監視対象者だった……。
冷戦下の東ドイツで、眞山は音楽に真摯に向き合いながらも、クリスタの存在を通じて、革命に巻き込まれていく。

ベルリンの壁崩壊直前の冷戦下の東ドイツを舞台に一人の音楽家の成長を描いた歴史エンターテイメント。

圧巻の音楽描写も大きな魅力!
本作を彩る音楽は……ラフマニノフ 絵画的練習曲『音の絵』バッハ『平均律クラヴィーア曲集』第1巻 『マタイ受難曲』リスト『前奏曲(レ・プレリュード)』
ラインベルガー オルガンソナタ11番第2楽章カンティレーナ ショパン スケルツォ3番 ブロッホ『バール・シェム』より第2番「ニーグン」 フォーレ『エレジー』 ……etc.


解説・朝井リョウ

革命前夜 (文春文庫) / 感想・レビュー

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タカユキ

東ドイツへピアニストとして留学した主人公と、そこで出会う各国の留学生との交流を当時のベルリンの壁崩壊までの歴史の流れと共にリアルに表現している。主人公が留学した音楽学校には、天才的な音楽家の卵たちがごろごろいる。魅力的な若い才能がぶつかり合いながら成長していく。しかし舞台は崩壊寸前の東ドイツ。秘密警察が支配する社会の恐ろしさ。それは相互監視社会という悪夢のような世界。しかしこの物語の本当の主役はあくまでも「音」。音のない小説から天才たちの音色が個性的に描かれ魅力的。個性とは?自由とは?を考えさせられました

2018/05/29

chantal

1989年、ベルリンの壁崩壊のニュースはとてもとても衝撃的だった。東西冷戦が終わるなんて、正直思ってもみなかったし、全く何の関わりもない遠い東欧の国で起こった事に興奮していた事を思い出す。ヨーロッパの人々にとって音楽がどれほど密接に歴史と関わり、深く生活に根付いているか、どんなに辛い事があっても音楽が支えてくれる。優れた音楽は人々に希望を与え続けてくれるのだと、今更ながら思い知らされた。ただ、主人公シュウにはあまり共感出来なかった。他所の国を決して自分の価値観で判断するべきではない、その思いを強くした。

2018/05/08

はたっぴ

『夏の祈りは』とはテイストが異なり、昨年読んだ『また、桜の国で』のような史実に基づいた重厚で読み応えのある一冊だった。ピアニスト・眞山が留学したのは崩壊寸前の東ドイツ。そこで出逢った音楽家の卵たちとの交流が生き生きと描かれており、私の体の中にも音楽が入り込んでくるような錯覚を感じながら読み進めた。たくさんの音と共に、東ドイツの人々の息苦しさまでもが伝わり、程よい緊張感を持ちつつ読了。スポーツものに限らず、歴史や音楽でも感動を与えてくれる著者の筆力に圧倒された。

2018/08/04

南雲吾朗

ベルリンの壁崩壊、無血革命をリアルタイムでニュースで観た時の興奮が蘇ってくる。その裏で、もしかしたら本当にこの様な事が起こっていたかもしれない。主軸は音楽勉強のため東ドイツに留学し自分の音を探し求める日本人のドラマ。作者の描写がすごい!活字からあふれ出る音。行った事の無い東ドイツの風景や風、温度まで伝わってくる。 登場人物各々の思いや暗く陰鬱とした共産国の惨状、裏切り、監視、亡命、密告。しかし音楽は決して裏切らない。本当に、最後には震えが来るほど素晴らしい。良い小説に出合えて、本当に感謝しています。

2018/04/14

佐島楓@勉強中

ベルリンの壁崩壊前夜の空気を、私は嗅いだことはない。嗅げるはずもない。この作品は、やすやすと時空を飛び越え、読者を冷戦時の東ドイツに誘う。主人公が、何もドイツの実情を知らない日本人青年というところに、著者の告発のような強い気持ちを見て取れる。あまりにも、知らないことが多すぎる。たかだか、三十年も経っていない、実際にあったことなのだ。物語の力と雄弁さを感じた。

2018/03/11

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