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ミスト 短編傑作選 (文春文庫 キ 2-54)

ミスト 短編傑作選 (文春文庫 キ 2-54)

ミスト 短編傑作選 (文春文庫 キ 2-54)

作家
スティーヴン・キング
矢野浩三郎
出版社
文藝春秋
発売日
2018-05-10
ISBN
9784167910761
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「ミスト 短編傑作選 (文春文庫 キ 2-54)」のおすすめレビュー

後味が悪すぎるホラー映画『ミスト』ってどんな話? 原作者スティーヴン・キングが絶賛した結末までの描かれ方に注目

『ミスト 短編傑作選 (文春文庫) 』(スティーヴン・キングスティーヴン・キング/文藝春秋)

 街なかに霧が出ているのを見ると、映画『ミスト』を思い出す。霧の中で、何か化物が出てきやしないかと、ワクワクと妄想に浸ってしまうホラー好きもいるはずだ。アメリカで2007年に公開され日本では2008年に公開された『ミスト』は、15年以上たった今もなお観た人の印象に残り続けている。

 映画『ミスト』は、スティーヴン・キングの1980年に発表された中編小説『霧』が原作のSFホラー。アカデミー賞で7部門にノミネートされた『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』の監督である、フランク・ダラボンが監督脚本を務めた。キング作品の『ドリームキャッチャー』にも出演したトーマス・ジェーンが主人公のデヴィッド・ドレイトンを演じた。

 物語は、災害級の嵐の後に主人公が幼い息子と隣人と、スーパーマーケットへ買い物に行くところから始まる。すると、買い物中にすさまじい勢いで霧が発生する。そのさまはこれから何が起こるのかと恐怖心を運んでくるが、先が見えない濃い霧の中からやってきたのは謎…

2024/3/31

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後味が悪すぎる映画で有名な「ミスト」の原作ってどんなの? スティーヴン・キング原作短編集は実は結末が違う…!

『ミスト 短編傑作選(文春文庫)』(スティーヴン・キング:著、矢野浩三郎ほか:訳/文藝春秋)

 今まで観たホラー映画の中で印象に残っているものを挙げていってほしい。その中に『ミスト』はないだろうか。私は後を引くラストの衝撃が未だに忘れられない。原作はマニアがこぞってすすめる『霧』というスティーヴン・キングの作品である。キングはアメリカのホラー小説の巨匠であり、2024年でデビュー50周年を迎えた。第一線で活躍し続ける作家の名作を、この機会に手にとってみてはいかがだろうか。

『ミスト 短編傑作選(文春文庫)』(スティーヴン・キング:著、矢野浩三郎ほか:訳/文藝春秋)には、『ほら、虎がいる』『ジョウント』『ノーナ』『カインの末裔』『霧』の順に収録されている。キングの短編集『SKELETON CREW』より選ばれた、珠玉の初期作品集だ。

 本書は、『ほら、虎がいる』というショートショートからはじまる。授業中、意地の悪い先生にどやされつつ、尿意を我慢できなかったため主人公はトイレに行く。静まりかえった校舎のトイレに入ると、そこにはお腹を空かせた虎がいた。通常で…

2024/3/18

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ミスト 短編傑作選 (文春文庫 キ 2-54) / 感想・レビュー

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KAZOO

キングの初期のころの作品集でむかし読んだ覚えがありました。このような形で再刊されるといいですね。この作品の中にはショートショートが1編、短編が3編最後に本の題名となっている作品(中篇)がおさめられています。私はショートショートの「ほら、虎がいる」と「ミスト」が印象深い気がしました。ショートショートは彼の作品の中ではものすごく短いのですがうまいと感じました。「ミスト」は映画も見たのですが、集団ヒステリー現象を扇動する女性がうまかった気がします。

2018/07/19

のっち♬

『Skeleton Crew』より5篇。表題作は恐怖空間と不安・狂気が渾然一体となって迫る傑作。不和と希望の根源たる霧を社会性のベタなメタファーにとどめず、奇抜なモンスターやスリリングなドラマ・アクションを次々と繰り出す構想とディティール追求で知覚の扉を開いてみせる。語り手には芸術家ならぬ大衆作家として生きる著者の回顧が伺える。唖然とする程シュールな『虎がいる』、往還する語りが巧緻な『ジョウント』、暴力噴出の核心に異なる角度で迫る『ノーナ』『カインの末裔』と、技巧・エッセンスのバランス面でも最適な入門書。

2023/03/08

海猫

5編収録の作品集。トーンはSFながら最終的にホラーとして着地する「ジョウント」。人間が孤独に永遠と向き合うなんて想像するだけで恐ろしい。「ノーナ」の陰鬱で静かな語り口も染み入る。それぞれ短編にも味があり面白い。が、中編というか短めの長編といってよい長さの「霧」に一番手応えを感じた。霧の中に見え隠れする怪物のようなもののおぞましさ、閉鎖されたスーパーマーケットの中でひたすら煮詰まっていく人間関係など、いかにもキングらしい厚みを感じる。映像的なイメージが鮮烈であったが、実際映画化されているので観賞してみよう。

2023/08/01

ケンイチミズバ

呪うだけなら罪にならない。教師からもいじめられている彼の心のつぶやき。当時、担任教師は毎日教室で私服から汚れてもよい服に着替えをしていた。たまたま目があった私は睨まれ、いちいち見るなとどなられた。中年女性の下着姿など見たくて見るものか。見ないようにするには目を瞑るか下を向くしかない。子供心に屈辱を感じた。それが理由か、しばらくいじめが続いた。中学生になって思い出す度、私も呪った。トイレに虎がいる。彼の呪いが、願いが叶い、トイレから戻るのが遅いことを咎めにきたクラスメイトに続き意地の悪い教師も餌食になった。

2018/05/21

藤月はな(灯れ松明の火)

長らく、絶版になっていたスケルトン・クルーシリーズの一部が復刊!やっぱり、キングは面白い。一番、怖かったのは『ジョウント』。リッキーの変わり果てた姿と「思っているより、ずっと長いんだよ!!」という言葉の意味を考えると震えが止まらない。そして犯罪にも使われるのにジョウントが日常生活として溶け込んでいる描写が只管、怖い。「ノーナ」は一種のファムファタール物。しかし、子供時代のトラウマの強烈さに対し、語り手が身を持ち崩すまでの心理が暈されているのが何とも言えない不気味さと居心地の悪さを感じていたら…。

2018/05/14

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