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夏の裁断 (文春文庫)

夏の裁断 (文春文庫)

夏の裁断 (文春文庫)

作家
島本理生
出版社
文藝春秋
発売日
2018-07-10
ISBN
9784167911003
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夏の裁断 (文春文庫) / 感想・レビュー

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さてさて

芥川賞の候補作にもなった表題作の〈夏の裁断〉。前にも後ろにもどこにも進めない千紘の感情の描写には、自らをどんどん追い込んでいく、そして読者をも息苦しく巻き込んでいく、そのような鬱屈とした物語がありました。だからこそ、その光差す結末に、千紘だけでなく、読者も救われる感情を抱くのだと思います。『私は名前のない薔薇になれるのだろうか』と思う千紘。『自由になりたいと願いながら、ずっと臆していた』と自身の過去を振り返ることができるようになったそんな千紘の姿を見る結末に、いっ時の安らぎの感情を見た、そんな作品でした。

2021/07/07

おしゃべりメガネ

数あるへヴィな島本さん作品の中でも個人的に読んだ中でも1、2を争う重たい作品かなと感じています。ページ数は少ないのに、読んだあとはかなりの大作を読んだかのように内臓にずっしりくる感じが残ります。作家である主人公「千紘」と編集者「柴田」のあぶなっかしく、なんとも言えない綱渡りな二人の関係がホントにキツい。そこに絡んでくる「猪俣」も輪をかけてキツい。こんなキツキツな人間模様にもかかわらず、読了できてしまうのはやっぱり島本さんならではなんだろうなと。タイトルで受ける印象より、さらに'裁断'された読後感ですね。

2020/09/12

しいたけ

島本理生の描く壊れた人が、ぞくぞくするほど私を惹きつける。せっかく本を読むのなら、不協和音の音の連なりに流され、藻のはびこる暗い湖に放りこまれる着地点を、歓んで受け入れようと思う。小説家千紘を翻弄する編集者柴田。柴田もサバイバーなのだろうと推し量って読んだ。のちに出会う清野さんとて、ある意味サバイバーだ。傷の膿みかたは人それぞれ。傷への触れかた、癒しかたも人それぞれ。人の複雑怪奇な感情を「宇宙」と表す清野さんの達観。こんな男に出会い癒されたいと、消えているはずの自分の傷を探す。

2018/07/30

ケンイチミズバ

重たい女なのには理由がある。作家が自炊することは自傷行為だと言いながらうわべだけでも恋人のイラストレーターとの共著も自炊してしまう痛さ。ちなみに自炊とは紙の本をばらしてスキャナーに読み込みデータ化すること。少女時代に意味がわからないまま体を奪われたトラウマから男女の関係をうまく生きられない。口ごもってしまう言葉をお酒の力で吐き出そうとするが当然そんなことで人間関係はうまくいかない。文体が素敵で文学を感じながら、私が男性であるがゆえにつかみきれな部分もあり、痛みだけ強く残る。タイトルからしてとにかくうまい。

2018/07/30

mariya926

読友さんのお勧めです。そして他の読友さんが文庫の方が書き下ろしもあるからとお勧めして頂きましたが、文庫本を読めて本当に良かったです。本の裁断は本当に読む本でないと、全部裁断しても結局誰も読まないのでもったいないです。鎌倉の描写はいいなー。住みたくなります。恋愛も柴田さんは私が全力で避ける相手なので、なんで絶対にダメ男だと分かるのにって共感ができませんでしたが、文庫本だと秋、冬、春バージョンがあるので、清野君との出会いがありそこから一気に面白くなりました。なぜ島本理生さんの本は危険な男ばかりなのでしょう?

2019/09/30

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