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夏の裁断 (文春文庫)

夏の裁断 (文春文庫)

夏の裁断 (文春文庫)

作家
島本理生
出版社
文藝春秋
発売日
2018-07-10
ISBN
9784167911003
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夏の裁断 (文春文庫) / 感想・レビュー

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しいたけ

島本理生の描く壊れた人が、ぞくぞくするほど私を惹きつける。せっかく本を読むのなら、不協和音の音の連なりに流され、藻のはびこる暗い湖に放りこまれる着地点を、歓んで受け入れようと思う。小説家千紘を翻弄する編集者柴田。柴田もサバイバーなのだろうと推し量って読んだ。のちに出会う清野さんとて、ある意味サバイバーだ。傷の膿みかたは人それぞれ。傷への触れかた、癒しかたも人それぞれ。人の複雑怪奇な感情を「宇宙」と表す清野さんの達観。こんな男に出会い癒されたいと、消えているはずの自分の傷を探す。

2018/07/30

ケンイチミズバ

重たい女なのには理由がある。作家が自炊することは自傷行為だと言いながらうわべだけでも恋人のイラストレーターとの共著も自炊してしまう痛さ。ちなみに自炊とは紙の本をばらしてスキャナーに読み込みデータ化すること。少女時代に意味がわからないまま体を奪われたトラウマから男女の関係をうまく生きられない。口ごもってしまう言葉をお酒の力で吐き出そうとするが当然そんなことで人間関係はうまくいかない。文体が素敵で文学を感じながら、私が男性であるがゆえにつかみきれな部分もあり、痛みだけ強く残る。タイトルからしてとにかくうまい。

2018/07/30

machi☺︎︎゛

すごく繊細ですごく不安定な主人公から目が離せなくて、大丈夫かなーって最後まで不安な気持ちだった。でも段々と強くなっていく様にとても静かに勇気づけられ最後は胸をなでおろす気分だった。鎌倉の古民家っていう設定もこの話に合っていて、夏から始まり秋、冬、そして春で終わるという四季感あふれた素敵な1冊だった。

2019/06/13

おかむー

かなりひさびさの島本作品は芥川賞候補となった表題作と、文庫書き下ろしの後日談三篇を加えた長編となっているけれど、表題作単独とこの文庫版では別物と言ってよいぐらいかな。『よくできました』。まず表題作は実に“いつもの”島本節。愛を求めながらも、惑い、乱れ、もがき、抉られ、削れてゆく主人公・千紘の痛々しさ全開。対して後日談の三篇では、季節とともに彼女が捕らわれていたものに向き合い、悩み迷いながらも少しづつ変わってゆく姿が描かれる。このあたりが著者が純文学を卒業したからこその作風の変化でしょうかね。

2018/07/24

アマニョッキ

ずっと苦手だと思っていた島本さんですが、信頼できる筋から「これはいいぞ」と聞いて再チャレンジ。結果、とても良かったです。素晴らしかった。正直表題作を読み始めたときは「あれ?またいつもの感じ?」と思っていたのですが、なんか今回は乗り越えてきた感じがすごくありました。ラスト5頁くらい物凄いです。3回読み返したぐらい。そしてそのあとの書き下ろし三編がまた素晴らしいこと。これはもう文庫版が完全版「夏の裁断」じゃないでしょうか。単行本だけしか読んでなかったら勿体無いです。読むならぜひ文庫を!

2018/07/25

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