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わたしのグランパ (文春文庫 つ 1-19)

わたしのグランパ (文春文庫 つ 1-19)

わたしのグランパ (文春文庫 つ 1-19)

作家
筒井康隆
出版社
文藝春秋
発売日
2018-10-06
ISBN
9784167911591
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「わたしのグランパ (文春文庫 つ 1-19)」のおすすめレビュー

刑務所帰りのお爺ちゃんがカッコよすぎる! 筒井康隆のSFでもブラックユーモアでもない、王道&感動ジュブナイル小説

『わたしのグランパ(文春文庫)』(筒井康隆/文藝春秋)

 筒井康隆といえば、SF。そうでないなら、ブラックユーモアの作家だと思い込んでいる人は多いだろう。だが、実は、筒井康隆の作品の幅はかなり広い。たとえば『わたしのグランパ(文春文庫)』(筒井康隆/文藝春秋)は、SF小説でもなければ、シニカルな物語でもない。描かれるのは、祖父と孫娘の心の交流。感涙必至の王道ジュブナイル小説だ。

 主人公は、中学生の五代珠子。ある時、父親の日記を盗み見た彼女は、そこに「囹圄の人」という言葉を見つけた。それは、海外で暮らしていると聞かされてきた祖父・謙三に関する記述。「囹圄」が「牢屋」という意味だと知った珠子は、本当は謙三が刑務所に入っていることを初めて知ることになる。そして、刑期を終えた謙三が10年以上ぶりに帰宅してからというもの、彼女の日常は大きく変わり始めた。いじめや両親の不仲など、たくさんの問題に悩まされていた珠子だったが、謙三はそれを持ち前の度胸と行動力で次から次へと解決していく。

 和服の着流しに五分刈りのごま塩頭。見た目は怖いのに、話しかたは意外なほど穏や…

2023/10/26

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わたしのグランパ (文春文庫 つ 1-19) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ehirano1

#ハードボイルドグランパ。#とにかくテンポがイイ!#本書を一言で表すなら “粋”。#「引っ越しのセカイ」←このセンスに感服www。#老人は皆そうだが、死ぬまでに何かやっておきたい。#どういう死に方をするかじゃなく、死ぬまでに何ができるってことだ。#解説で暴露された筒井御大がカワイイ。

2020/02/16

佐島楓

久しぶりに、筒井さんのいい小説を読んだな、としみじみ思った。グランパへの距離感が、最後の最後まで絶妙である。この御老人には、ほんとうはどんな過去があったのだろう。男気というものが存在するのなら、それはかれのためにある言葉なのである。

2018/10/12

HANA

少女の生活に突如として現れた刑務所帰りのグランパ。少女の生活は少しづつ変化していき…。筒井康隆のジュブナイルを読むのは『時をかける少女』以来という事で期待しつつ読む。面白かったのは面白かったんだけど、全体的に短いせいか消化不良の部分が目立つような。淡々と進むから余計にそう感じたのか。孫の視点から物語が進むため、グランパの凄みが伝わりにくいよな。事態の背後で彼が動いているのはわかるのだが、物事が終わった時点で判明するため話の動きが分かりづらいというか。自分にとって筒井作品は、毒が含まれている方が好きだなあ。

2018/10/30

TSUBASA

父の日記に書かれていた「父は囹圄の人であり」という祖父に関する記述を見た珠子。家族がひた隠しにしていた祖父が15年ぶりに帰ってきた。珠子はヤクザや不良相手に怖気付くことなく問題を解決する祖父を信頼するようになる。大人になった今では毒っ気の無さに物足りなさを感じもしたが、10代の頃に出会ってたら大好きになってたかも知れない。作中で哲学講義をしちゃったり、文字が消えていく世界を描いちゃったり、1ページ1分の作品を創っちゃう人が、こういうドストレートなジュブナイル物も書いちゃうんだから御大の底知れなさがわかる。

2018/11/17

ひなきち

良きかな…善きかな…(*^^*)生き様がカッコいいグランパ。そして確実にその血筋をひいてる孫娘の珠子ちゃん。やりとりが微笑ましすぎる!筒井康隆作品の醍醐味である、俯瞰する文章も好きだ。(冷静すぎて、なぜか笑ってしまう箇所が必ずあるのだ)。そして…グランマの気持ちにもいたく共感した。素朴だけど、読後には心がじんわり暖まる優しい小説だった。

2018/11/12

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