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希望荘 (文春文庫 み 17-14)

希望荘 (文春文庫 み 17-14)

希望荘 (文春文庫 み 17-14)

作家
宮部みゆき
出版社
文藝春秋
発売日
2018-11-09
ISBN
9784167911676
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希望荘 (文春文庫 み 17-14) / 感想・レビュー

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fukumasagami

「何か困ったことがあったら、連絡してください。力になります」 真っ赤に充血した目で、ベルは私を見た。 「ありがとう」 私は外へ出た。二〇三号室のドアが閉じた。何かもう少し、かけるべき言葉があってもいい。だが思いつかなかった。探偵など、所詮その程度の存在なのだった。

2019/01/19

エドワード

人は見かけによらない。人の過去は、調べられなければ、わからない。21世紀の日本。都会でも、田舎でも、犯罪に区別はなくなった。誰もが欲望を持ち、誰もが自由を欲する。そんな市井の人々の、心に秘めた思いを、シャベルで掘り起こすように描き出す宮部みゆきさん。天才だ。この杉村三郎の物語と、前畑滋子の物語の、日常の破壊力のすさまじさ。若者、高齢者、あなたの隣人に魔が差す瞬間。「そんなバカな!」と絶対に思わせないのが宮部さんの作品だ。希望荘―それは、絶望的な現実の中にも必ず一本の光明が見える、彼女の物語の象徴だ。

2018/11/16

ゴルフ72

宮部作品を読んだのは久しぶり!杉原三郎さんが以前の作品に登場していたのもすっかり忘れている。記憶なんて良い加減なものである。短編と言っても繋がりある作品はやはり面白い。何と言っても杉原さんのひととなりが探偵事務所で引き受ける案件に上手く描かれていた。

2018/11/23

まりも

シリーズ第四弾は杉村三郎が探偵になるきっかけとなったある事件などを描いた短編集。短編集なのにすっごいボリューム。表題作の「希望荘」をはじめとしてどれも宮部みゆきさんにしか描けない渋味のある話ばかりでした。どの話も事件が解決してはい終了!という単純なものではなく、読み終わった後心にズッシリと来るのは、きっとどの話にも人間の闇みたいなのが共通して描かれてるからだろう。根っからの悪人もいるのは確かだけど、大多数の人々は普段は良い人なんだよなぁ。現代社会が抱える悲しみを杉村の目を通して見る。興味の尽きない作品だ。

2019/01/06

イトノコ

杉村三郎シリーズ第4弾。前作で全てを失った三郎が、私立探偵として扱った4つの事件。事件の謎解きそのものより、事件が起こるに至った人の心の闇や社会の歪みの描き方が上手く、読後に暗い気分になること請け合い(良い意味で)。社会派小説と言うのか、受験でやった時事問題みたいだ。「砂男」の、親に捨てられた男のエピソードを読んで、今年起こった新幹線での殺傷事件を思い出した。作品が書かれたのは更に前のことであるから、(もちろん実際の事件とは違う部分が多いので自分の印象だけれど)筆者の社会を切り取る眼に驚くばかりだ。

2018/12/28

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