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天下人の茶 (文春文庫)

天下人の茶 (文春文庫)

天下人の茶 (文春文庫)

作家
伊東潤
出版社
文藝春秋
発売日
2018-12-04
ISBN
9784167911898
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あらすじ

絢爛豪華たる安土桃山文化の主座をしめていた茶の湯。その文化を創出した男・千利休と現世の支配者となった豊臣秀吉との相克は、利休が秀吉に切腹を命じられたことによって終わりを告げた。果たしてこの争いの裏には何が隠されていたのか――。
6章からなる物語の大半は、利休の高弟だった、牧村兵部、瀬田掃部、古田織部、細川三斎(忠興)らが、視点人物として置かれている。
大陸への進出に失敗し、自らの功績を能の謡曲にして、それを演じることにのめり込んでいく秀吉の姿にはじまり、弟子たち個々の人生と利休とのかかわりを描くことで、徐々に利休の死の真相に迫っていく。
著者は、秀吉を「野心と自己顕示欲が極めて旺盛な人物。そのやろうとしたことは信長の模倣にすぎない」と分析する。一方、黄金の茶室を自ら作った芸術センスを「秀吉は独自の侘びを発見した」と評す。そこから利休との対立が発生し、さらに関係が悪化していく過程にも、新たな解釈で斬り込んでいく。
第155回直木賞候補作。
解説は永青文庫副館長の橋本麻里氏。

天下人の茶 (文春文庫) / 感想・レビュー

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ユメ

利休の人物像をどう解釈するかは、本当に作家の色が出て面白い。本書では利休を秀吉さえ意のままに操る存在として描く。茶の湯を政治に利用しようとする秀吉、政治を動かして世の中を精神的に支配しようとする利休。権力と文化の男女の愛憎のようにどろどろともつれて溶け合う関係が、静謐な茶室で繰り広げられるのが恐ろしい。秀吉とは対照的に、利休は形あるものは残さなかった。むしろそれゆえに彼は今なお人の心を波立たせる。奇道を行った人生は凡人には理解しがたいからこそ、利休は人に恐怖を抱かせると同時に人を惹きつけるのかもしれない。

2019/02/09

舞人(maito)

文庫版再読。利休に人生を狂わされた者、勘違いしていた者、そして道を間違えた者・・・当たり前だけど人は人によって変わる。でもいい風に変わるとは限らない。その意味では利休は相当罪深いが、影響を与えた当の利休も人との出会いで飛躍し、破綻した。そして最後は秀吉がそうなる。誰も笑顔にならない結末はやはり寂しいなあ。疑問として残るのは、かけ違えることが予想できていた利休は、なぜこの道を選んだのか?利休はどこか超人的であり、どこか俗人っぽいだけに、その生涯を追いたくなるなあ。

2018/12/23

タツ フカガワ

千利休はなぜ秀吉から切腹を命ぜられたのか。その謎を、牧村兵部、瀬田掃部、古田織部、細川忠興ら利休の高弟たちの目を通して明らかにしていく。やがて明らかになる利休と秀吉の蜜月と相克の実相……著者の大胆な推理が面白かった。本書のなかに「茶とは、げに恐ろしきもの」という言葉がありますが、この時代の茶道はひとつの武器だったのですね。

2018/12/20

納間田 圭

一番恐れたのは秀吉自身だから秀吉は利休に切腹を命じた。ざらざらした戦国武将達の心を…静かに潤す茶の安穏。でもでも…そこに隠されていた○○。戦の功名の恩賞にする領地や金銀以上に…茄子の形をした一国一城以上の価値がある茶道具。天下布武目前の信長に…家来への恩賞とする領地や金銀に限界があることを説いたのは誰か。光秀を…そそのかしその気にさせたのは誰か。信長を…京の本能寺で無防備化したのは誰か。秀吉が…高松城から“中国大返し”を成功できた本当の理由は何か。それは全て秀吉と利休の二人三脚だとしたら

2019/01/15

まいど

あいも変わらず人気のある千利休。何冊読んだか分からないが今回の切り口は今までにない新鮮なものだった。 確かにこの考え方があったとしても不思議ではないのに誰も考えなかったから不思議だ。 歴史ファンであれば本能寺の変の謎には少なからず興味がありその真相について話し合ったこともあるはずだ。だがその際に一度もなかった方向から攻めてみせた伊東潤は凄い。 伊東潤作品気にはなっても読んだ事はなかった。読み口も重すぎず軽すぎずでいいかもしれない。 これからは少しお世話になりたいと思う。

2019/02/02

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