西洋菓子店プティ・フール (文春文庫 ち 8-2)
西洋菓子店プティ・フール (文春文庫 ち 8-2) / 感想・レビュー
machi☺︎︎゛
パティシエの亜樹は祖父のお店、プティ•フールで働く。定番のいちごショートやシュークリームや本格的な洋菓子など甘くて美味しそうなお菓子がたくさん出てくるが話の内容はずっしりと重ため。亜樹の友達や恋人、仕事仲間、それぞれが抱える事情や悩み。亜樹の鈍くて頑固な性格もあり上手くいかない事も多いがやっぱり甘い物は人を幸せにする。巻末のパティシエの人と千早茜さんの対談も良かった。
2021/04/28
ゆいまある
洋菓子店を舞台にした連続短編集。以前読んだ「男ともだち」で、千早さんとはお菓子の趣味が合いそうだと期待して。予想違わず主人公はフランス帰りで、酒やスパイスをギリギリまで使う攻めてる菓子職人。舞台こそ祖父の古いケーキ店だが、すれ違う恋愛模様や秘密の恋など千早茜らしく、全く甘くない。タイトルや表紙から癒し系を予想してたので嬉しいギャップ。苦いし酸っぱい。お菓子にかける情熱も熱い。お菓子卸してる紅茶専門店でクレープシュゼット出すとか、熱すぎるし拘り過ぎ。こんな風に薀蓄を聞きながらケーキを食べてみたいなあ。
2020/08/16
アッシュ姉
下町の洋菓子店を舞台にした連作短編集。甘いだけでなく酸味や苦味の効いた群像劇で面白かった。甘いものが苦手なわたしは人生損してると感じるほど、お菓子への愛がたくさん詰まっている。巻末の対談も興味深く、千早さんが一層好きになった。
2021/11/24
クプクプ
千早茜さんの本は初めて読みました。文章が適度に尖っていて、情熱的でフレッシュな作家だと感じました。西洋菓子の作り方の描写は映像が浮かんでくるようでした。主人公の女性と西洋菓子店を経営する、おじいちゃんと、主人公の婚約者との三人の人間模様が、よく描けていました。ネイルサロンの話も、絶妙にリアルで、この本はむしろ男性が読むと、女性の生活が少しわかると感じました。千早茜さんの他の本も、ぜひ読みたいと思いました。
2022/08/27
tenori
何かがものすごく印象に残るわけではないのだけれど、気持ちの中にふわりと入り込んでくるような作品。甘い洋菓子を主題にしながら、そこで描かれるのは感情のすれ違いだったり、嫉妬、裏切り、焦燥感といった人間関係の隠しておきたい部分。翻ってスイーツの甘さを引き立てるのは渋みや酸味や苦味のスパイス的な要素であって、その微妙なバランスの大事さをとても上手にとらえていると感じました。全編を通しての読後感も良いのですが、主人公の祖父が語る「菓子に例えた人生論」が秀逸で、ぐっとくるものがあります。
2020/04/08
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