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夜の谷を行く (文春文庫 き 19-21)

夜の谷を行く (文春文庫 き 19-21)

夜の谷を行く (文春文庫 き 19-21)

作家
桐野夏生
出版社
文藝春秋
発売日
2020-03-10
ISBN
9784167914523
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夜の谷を行く (文春文庫 き 19-21) / 感想・レビュー

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rico

タイトルには二つの意味があるような気がする。仲間の死体を山岳アジトから運ぶために歩いた夜の谷。そして、歳月を重ねてなお、日の当たる場所を避け、暗い谷のような所で息をひそめて生きていくこと。理想に燃えた若者たちが行き着いた果てがなぜ凄惨なリンチだったのか。当事者以外わからないのかもしれない。それでも、旧来の女性観を持つ男たちに対峙しつつ、女たちは別の理想郷を目指していたというのはありそうな話。結末は少し唐突な感じがして桐野さんらしくない感じ。彼らと世代の近い桐野さん、ひょっとしたら迷いがあったのだろうか。

2023/02/05

カブ

連合赤軍の元メンバー西田啓子は63歳。リンチによって12人の仲間を死に追いやり服役し、誰にも知られず人目を忍んで暮らしている。過去と決別したはずが、ルポライターの古市との接触で心にしまっていた秘密から解放される。極限状態でも女性は女性であること、それでもやってはいけないことがある。

2020/09/11

Shoji

物語のプロットは、1971年から1972年にかけて連合赤軍が起こした「山岳ベース事件」です。総括と言う名のリンチ殺人事件から40年以上が経過し、所定の刑期を終えて社会復帰した人々が背負っている苦悩に焦点を当てています。全編を通して、ずしりと感じる重圧感が凄いです。ラストに少し明るさが残されていたのがせめてもの救いだと思いたいです。一気読みしました。

2020/03/25

ピース

日本赤軍について少し勉強になった。彼らは最初の目的を見失ってしまったんだろうか。結局は何をしたいのか分からなくなって「総括」という名の暴力を奮って最終的には「あさま山荘事件」に至ったのか。話としては元「兵士」の啓子の40年後。忘れたはずの過去が近づいてくる。これは意図されたものだったんだろうか。最後はちょっと意外だった。

2020/04/24

のんちゃん

東日本大震災の年、元連合赤軍の一員だった啓子は元同志から一本の電話を受ける。その年は連合赤軍大量リンチ殺人事件の首謀者永田洋子が獄死した年だった。そこから人目を忍んで生きてきた啓子は過去と向き合う事になる。事件当時まだ小学校低学年だった私は、その詳細を知らず、とても興味があった。日本変革を目指した組織が、なぜ殺人集団になってしまったのか?桐野作品は初読みだったが、とても読みやすく、すぐに読了。疑問の答が作品中にあったか否かは、読み手の想像力によるだろう。

2020/04/10

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