人間タワー (文春文庫)
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ダ・ヴィンチニュース編集部メンバーが、“イマ”読んでほしい本を月にひとり1冊おすすめする新企画「今月の推し本」。 良本をみなさんと分かち合いたい! という、熱量の高いブックレビューをお届けします。
世にも奇妙な物語風、誕生日がテーマの村上春樹の短編『バースデイ・ガール』(村上春樹:著、Kat Menschik:原著/新潮社) 『バースデイ・ガール』(村上春樹:著、Kat Menschik:原著/新潮社) 青山美智子さんの『お探し物は図書室まで』を読んだ。タイトルの通り舞台は「図書室」だが、ふと似た空気に触れたくなって図書館に赴いた。本書には数冊の書籍が登場し、その中の1冊と、強く目に飛び込んできた、贈り物のようなデザインの『バースデイ・ガール』を手に取った。年齢云々はさておき、誰にも公平に年1回訪れる類稀な「誕生日」をテーマにした村上春樹のオリジナル短編だ。
20歳の誕生日を、交代もかなわず、バイト先のイタリア料理店で迎えることになった女性が、お店が入るビルに部屋を持つオーナーに食事を運んだのはいいのだが、その先が妙で、身を乗り出すように物語…
2020/11/27
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人間タワー (文春文庫) / 感想・レビュー
エドワード
「小学校の運動会での人間タワーは危険だ」という記事を見たことがある。「がまんすることで児童は成長する」「桜が丘小学校の伝統」と信じて疑わない教師、「指に怪我をしたら受験に差し支える」と中止を求める母親。児童に話し合いをさせるシーンがリアルで圧巻だが、何の成果も得られないのも自明だ。クラスの運営という言葉、教師のあまりの多忙さと重圧感がひしひしと伝わって来る。「危険だが、やるべきだ」何かに似ている、と思ったら、コロナ禍でのGoToキャンペーンだ。肯定・否定両方で世間を煽るネットニュースがまさに今だなあ。
2020/11/20
タルシル📖ヨムノスキー
ある小学校の運動会のメインイベント、6年生による組体操「人間タワー」を巡る物語。実施についての賛否は生徒にも先生にも、そして保護者にもあり…。話はそれだけでは終わらず地域住民や卒業生の想いにも寄り添う。特に老人ホームに入居する老人の話「すべてが零れ落ちても」と、小学校時代いじめられっ子だった男性の話「乗り越える」は、読み始めは本編との繋がりが見えなくてどういう話なのかとドギマギしていたけれど…。この二つが特に心に沁みました。残念なのは、子供達がどういう経緯であの答えを導き出したのかが語られなかったこと。
2023/11/24
銀河
運動会の組体操、桜丘タワー。先生や児童目線で皆の心がひとつになる過程を描くのかなと思ってたら違った。誰かの生活の一部が、誰かの全部。のぞみえんの入居者の話はとてもせつない。学校パートがとても共感しやすくて、安田澪の観察眼がおもしろかった。ラスト、卒業生の高田くんの話では泣いてしまった。「あの頃の自分に教えてあげたい。」以降が特に。私の地域の運動会は女子はダンスでよかった…得意分野ではないのでやりたくないし、学年が一緒なだけの人たちと絆なんて感じられない。手を挙げてそんなこと言えないけど。
2021/04/10
ひろりん
最近、危険性がとりざたされている小学校の運動会で行われる組体操がテーマです。組体操の種目である「人間タワー」へのそれぞれの人の思いが交錯して、ラストはどうなるのか?と読み進みました。危険性をはらんだものかも知れないけど、だから悪と決めつけてしまうのはどうかと思います。そういう意味では、解説に出てたように、双方が納得できる形をと考える澪がいちばん成熟してるのかな?
2021/01/17
ジブる
組体操が問題となってきた今、 それをどうするかを決めていく一つの小学校の物語。 良かった。
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