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マスク スペイン風邪をめぐる小説集 (文春文庫 き 4-7)

マスク スペイン風邪をめぐる小説集 (文春文庫 き 4-7)

マスク スペイン風邪をめぐる小説集 (文春文庫 き 4-7)

作家
菊池寛
出版社
文藝春秋
発売日
2020-12-08
ISBN
9784167916138
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「マスク スペイン風邪をめぐる小説集 (文春文庫 き 4-7)」のおすすめレビュー

現代人とそっくり! 文藝春秋創設者・菊池寛が、100年前のスペイン風邪流行下に感じていたこと

『マスク スペイン風邪をめぐる小説集』(菊地寛/文藝春秋)

 年始の出版広告の中で一際目立っていたのは、文藝春秋の広告だろう。そこに使われていたのは、文藝春秋創設者で小説家の菊池寛の写真。なんとコロナ禍の現代人と同じように、マスクをしている姿なのだ。おまけに、菊池は、「マスク」という掌編を発表している。ちょうど100年前、世界は、スペイン風邪の猛威に襲われていた。掌編「マスク」は、スペイン風邪流行下の実体験をもとに描かれた作品なのだそうだ。同作は『マスク スペイン風邪をめぐる小説集』(菊池寛/文藝春秋)に収載されているが、そこに描かれているのは、コロナ禍の現代人と変わらない人間の姿。コロナ禍の今だからこそ強く共感させられる。

「マスク」で描かれている主人公は、おそらく菊池寛自身なのだろう。主人公は、恰幅が良くて一見丈夫そうだが、実は人一倍内臓が弱い。心臓も肺も胃腸も脆弱。医者からは、「流行性感冒にかかって高熱が続いたら、もう助かりっこありません」とまで言われてしまう始末だ。そのため、ひとたびスペイン風邪が流行すると、うがいやマスクで感染予防を徹底…

2021/1/22

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マスク スペイン風邪をめぐる小説集 (文春文庫 き 4-7) / 感想・レビュー

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ehirano1

表題作について。「不快に感じるのは強者に対する弱者の反感」を感じたとの件はまさにルサンチマン。立場や状況が変わればルサンチマンってのはいつでも顕在化するということが改めてわかりました。

2023/03/21

keroppi

「スペイン風邪をめぐる小説集」とあるが、スペイン風邪を描いた小説は少しだけ。人の生死を描いた短編集というところか。表題作の「マスク」は、今の時代の小説といっていいくらい。100年たっても予防は同じなんですね。「病気を怖れて伝染の危険を絶対に避けると云う方が、文明人としての勇気だよ。」きちんと対策していない方々にも伝えたい。それ以外の作品では、自死を取り上げた作品が印象的だった。現在のコロナの片側では、自死も確実に増えているという悲しさ。

2021/01/13

seacalf

ご時世に合わせてユニークな編み方をした短編集。100年前のスペイン風邪の猛威に怯える作家先生のお話から、幾つか流行り病に関わる短編が続いたかと思えば、全然関係ない時代小説な短編も収録。でも、どれもこれも面白いものだから、あれよあれよと読んでしまう。頁数は少ないながら、菊池寛の良いとこ取りが出来てお得な気分。表題作の『マスク』はもちろん興味深くて面白いが、意外なストーリーの『身投げ救助業』が個人的に良かった。こうして読みやすい形で菊池寛の作品を手元に届けてくれるのは、ありがたいこと。お見事ね、文藝春秋さん。

2021/06/10

kei302

半額セール。インパクトのある表紙。帯を外すと、マスクも外れる仕掛け。解説は仏でロックダウン経験者の辻仁成氏。 曰く:「ペスト」との比較は難しいけれど、むしろ日本人には「ペスト」以上に思い当たることが満載 だそうで、期待が高まるのですが、「マスク」は掌編。でも、病気小説が続きます。時代小説がおもしろかった。さすが菊池先生です。心の機微の描き方が細やかで巧いなぁ。

2021/05/19

たまきら

人間ってそんなに変わらないんだよなあ…と思いつつ、教育とメディアがもたらす情報がいかに人々の行動に影響を与えるかにちょっと脅威を覚える読後感です(マスク)。他の短編集は自分がイメージする菊池寛(わかりやすく、その時代に一番求められるものがわかっている権威とケンカしない人)といった感じです。

2022/12/23

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