正しい女たち (文春文庫 ち 8-4)
正しい女たち (文春文庫 ち 8-4) / 感想・レビュー
じいじ
この作家の人物描写には、独特のものが感じられてとても好きである。世間には、むやみやたらとタチの悪い「先生」と呼ばれる輩がはびこっているようだ。国民の健康をあずかる医師は大方よしとして、政治家までもが「先生」と呼ばれるのは、いささか行き過ぎであり腹も立つが…。読み終えて、6篇の短篇にかぶされた「正しい女たち」のタイトルの「妙」が甦ってきた。
2021/05/25
まさきち
それぞれの女性が各々の信念に従い、色々な状況の下で生きていく姿を描いた短編集。各編の関わりが微妙にかいまみれたのも楽しみの一つでした。
2021/06/05
tenori
千早茜さんの著作は女性好みかなと思うのですが、男性である私は男性にこそお薦めしたい作家さんのひとり。特にこの作品。濃淡あれど女性が持ち合わせる正しさと、そこから逸脱してしまうことの悩ましさを高校生時代の4人グループ目線で繋いだ連作短編。登場する男性陣(中でも腐った感じの)に自分を重ね合わせ読むべし。拒絶をしつつも、何かを教示するような強さと優しさ。男性は女性に踊らされ、甘えている、そして育てられている。そんなことを感じさせられる一冊。桐野夏生さんの解説も秀逸。
2022/11/19
佐島楓
正確には「正しいと思っている女たち」に近いか。そもそも、正しさとは何だろう。みな自分の正義感に沿って生活しているのだから、そこに齟齬が生まれる。最適解など、誰に決められるものでもない。すべて結果論に過ぎない。そんなことを自分のなかで考えてしまう。
2021/05/21
JKD
正しい人生であることが果たして正しいのか、そもそも正しいとはなにか、何気ない日常の会話や交流を通じて得られる結末は幸せなのか絶望か。いろんな感情が織り混ざり、微妙な感性の違いがその先の分かれ道を決定付ける。そんな哲学みたいな世界に引き込まれていくような感覚になりました。
2021/07/16
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