雲州下屋敷の幽霊 (文春文庫 や 72-2)
雲州下屋敷の幽霊 (文春文庫 や 72-2) / 感想・レビュー
白いワンコ
ここ二冊読み応えなく終わっていたため、安心して読める再読の本作をチョイス。本当は京極作品を読みたかったのだが、単行本で氏から称賛された戯作5編+αで存分に満たされた。田口幹人氏の解説も、個人的にとても胸が熱い
2021/07/30
一五
5話、どの話も凄惨、息つけるのは幕間だけ。表題作の殿酷すぎ
2021/10/27
茶幸才斎
明治23年、雑誌編集者の幾次郎は、河竹黙阿弥の書く狂言台本のネタを求め、書物問屋の清兵衛を訪ねる。読まされたのは、陰惨で妖艶な5編の戯作。かつての恨みから老父を虐げる娘の話。奇行の末に侍女の背に幽霊の刺青を彫らせた前藩主の話。残忍な折檻事件を調べる同心の話。大名行列を狙う男の暗殺を請け負う浪人の話。吉原から流れ着いた自身の経歴を語る見世物小屋一座の女の話。世間が無思慮な言い分を振りかざすことで、創作の自由な発想に制約を受ける中、新作を生むのに日々血反吐を吐きながら苦闘している筆者の沈痛と憤懣とを垣間見る。
2021/08/19
咲夜 藍音
1つ1つの短編で読みやすく、幕間を読むことで幾次郎と一緒に読んでいる気分になる。 1話ごと、『うわぁ…』ってなりました。 でも、面白かった。谷津先生の他の作品も読んでみたい。
2023/06/30
chikaramochi
解説によると単行本での出版時は「奇説無残絵条々」がタイトルだったようだが、そのタイトルでは手に取らなかったかもしれない。戯作のネタになりそうな草紙を次々紹介されて…という入れ子構造の短編集で、なかなかに陰惨な話のオンパレードになっているけれど、そこに不思議な美しいともいえる色がついている。主人公(狂言回し?)はかつて浮世絵師だった人物、というところでアレ?と思ったら、作者は歌川国芳の画塾に集った絵師たちを描いた一冊を書いた人だった。京都でやってる「挑む浮世絵」展やっぱり観に行きたいなぁ…。
2022/03/10
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