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中野のお父さんは謎を解くか (文春文庫 き 17-13)

中野のお父さんは謎を解くか (文春文庫 き 17-13)

中野のお父さんは謎を解くか (文春文庫 き 17-13)

作家
北村薫
出版社
文藝春秋
発売日
2021-11-09
ISBN
9784167917807
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中野のお父さんは謎を解くか (文春文庫 き 17-13) / 感想・レビュー

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へくとぱすかる

二つのジャンルの謎を解く。ミステリとしておもしろいのは日常の謎の方。しかし興味をひかれるのは文豪の謎。文豪の謎は一種の論文の形をしていない文学論・作家論として読める。謎のジャンルのハイブリッドなところは、ちょうど編集者としての美希が、体育会出身で、運藤神経が良いのと並行しているみたいに思える。中野のお父さんは元気だが、オビに書かれてあるように「倒れる!」のであるが、それでも推理は行う。身についた習慣ということか。野球選手の名前を連想させる作家、という設定は、いしいひさいちのマンガ作品を思い出して楽しい。

2021/12/20

TakaUP48

出版社に勤める田川美希のお父さんは、高校の国語教師。だが、ただ者ではない!8件の難問を見事に解決!といっても、なかなかディープな話でついて行けないこと多々在り。精神病ではない。人格障害「100万回生きたねこ」の《絶望の書》と感じてしまう人もいる。「本の読み方にひとつの正解はない」は名言だと思う。ともに紅葉の弟子だった鏡花が、火鉢を飛び越えて秋声を殴った!う~む、人の話は流れ流れて、こうも面白い話になるのか。菊池寛、テニスのマッケンロー、ネクタイのストライプの逆向き方向がアメリカスタイル?この博識には降参!

2022/09/30

エドワード

中野のお父さんリターンズ。野球にバーベキュー、美希の編集部は今日も和気藹々だ。溢れる才気、飛び出す知性。今回の謎は「縦か横か」「ガスコン兵」「菊池寛はアメリカか」等、神保町をかけ巡り、昔の雑誌から糸口を探りだす。お父さんの引き出しの多さに唸らされる。松本清張と横溝正史は確執していたか、そりゃそうだなあ。ある作家さんの言葉「膨らみのないものは駄目だ。面倒なこと、時間のかかること、よく噛まないと飲み込めないようなところに、物事の味わいもあるんだがなあ。」に共感する。打ち上げの多い職場が羨ましい今日この頃だよ。

2021/12/20

がらくたどん

定年間近の高校国語教師が出版社勤務の体育会系娘の持ち込む出版業界ならではの謎を解く蘊蓄ミステリー第二弾。目次はすべて「○○は△か?」このタイトル・目次の文型連動は少なくとも次巻までは続いているのだが新刊はどうかな?読者は(私は?)こういうつまんない細工が大好物なのだ。今回はほぼ全話にホンモノが絡む=掘り出がある。もちろん、親孝行を兼ねて謎を土産に実家を訪ねる娘と自身の蔵書と知識で嬉々として応ずる父の姿も変わらない。後半「変わらない」ありがたさを噛み締める展開もあり本を仲立ちに結びつく幸せが地の物語に滲む♪

2024/03/27

yumiha

『米澤屋書店』(米澤穂信)で取り上げられていた本書。「火鉢は飛び越えられたか」の章は、追記から想像すると、米澤穂信講演会レポートに北村薫の知的好奇心が燃え上がったのではないかと想像する。郷土の文人である徳田秋声と泉鏡花のいきさつだから、興味深く読ませてもらった。「『100万回生きた猫』は絶望の書か」の章も、えっ⁉絶望の書なん?と驚き、興味をそそられ、中野のお父さんの慧眼に納得させられた。他にも松本清張、太宰治にも触れた章もあり、今さらながら北村薫の博識に感心する。

2022/08/16

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