楽園の真下 (文春文庫)
「楽園の真下 (文春文庫)」のおすすめレビュー
まるで『ジュラシック・パーク』!? 荻原浩のダークサイドが炸裂するサスペンス小説『楽園の真下』が文庫化!
今月発売の「文庫本」の内容をいち早く紹介! サイズが小さいので移動などの持ち運びにも便利で、値段も手ごろに入手できるのが文庫本の魅力。読み逃していた“人気作品”を楽しむことができる、貴重なチャンスをお見逃しなく。 荻原版『ジュラシック・パーク』ともいえるサスペンス長編『楽園の真下』(文藝春秋)。島に現れた巨大カマキリと連続自殺事件を結ぶ「鍵」とは――? 《以下のレビューは単行本刊行時(2019年9月)の紹介です》
『楽園の真下』(荻原浩/文藝春秋) 本土から遠く離れた絶海の孤島。飛行場はなく、唯一の交通手段である船は週に一度しか発着しない。だが、だからこそ残った豊かな自然と美しい海が観光客の人気を集める。
そんな「志手島」が、荻原浩さんの新刊『楽園の真下』(文藝春秋)の舞台だ。
もちろん架空の島である。であるのだが、「豊富な固有種が外来種によって危機に瀕する自然保護区がある」「昔は流罪の島だった」「今は若者の移住者が多い」などなど、現実のあの島この島を想起させる設定にニヤリとしているうちに、事件は始まる。
実際にいそうでいない「20センチ近い大カ…
2022/4/9
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楽園の真下 (文春文庫) / 感想・レビュー
ふう
好きな作家でなければ、この表紙の本は手に取りません。引き出しの多い作家なので、さてこの本はどの引き出しから出してきたのかなと思いながら読み始めたのですが…。先が気になって閉じられなくなり、一日目100ページ、二日目400ページ、一気読みでした。巨大化したカマキリと、その原因となった謎の生物が人間を襲ったりコントロールしたり。コロナの異常な感染拡大と重なって、怖さが倍増でした。そして、読み終えたあと、やっぱり読まなきゃよかったと思ってしまいました。最後のページでも襲いかかる怖さ。いやだ~!
2022/07/22
ま~くん
自殺者が多数発見されている人口2,800人の志手島。その島で常識外の大きさのカマキリが見つかった。フリーライターの藤間は出版社からの取材依頼を受け島に渡る。しかし仕事ははかどらず、調査中に島で知り合った青年も自殺してしまう。更に森の中ではTVリポーターの女性が顔を削ぎ落とされ惨殺された。暗視カメラに写っていた黒い影。そして藤間達はとてつもない大きさのカマキリに襲われる。自殺の原因、カマキリ巨大化の原因は何なのか。自殺と巨大カマキリの因果関係が判明した時は現実に起こりそうな話でゾッとした。荻原浩に外れなし。
2022/12/26
オーウェン
楽園の様な島に降り立ったライターの藤間は、巨大カマキリを探しに来るのだが、そこは楽園とは真逆の世界が存在していた。冒頭からファーブル昆虫記のように、カマキリをはじめとした虫の解説が。だが次第に虫の異常な成長が確認され、島自体が危険な状態に。というわけで巨大なカマキリたちとのサバイバルホラーへと転換する。また自殺者の原因がこれまた不気味な描写で描かれており、虫嫌いの人は敬遠した方がいいかも。日本じゃ無理だろうけど、ハリウッドあたりでB級アクションとして映画化できそう。ラスト藤間はやっぱりああなるんだろうね。
2022/12/28
だーい
巨大カマキリが楽園と呼ばれる島に突然現れて人間を次々と襲っていくなかなか恐怖の話だった。昆虫に関する専門的な話が次々に出てきて、そうなんだ〜と思いながら読み進めた。もちろん1メートルを超えるカマキリなんているはずもないが、暮らしが豊かになって何でも手に入れることができるようになった社会のすぐ裏側には人間の想像を超えることが起きるんだという風刺のようにも捉えられた。「楽園の真下」にはそんな意味が込められていると思う。そして人間なんてちっぽけで脆くて生物界の中では全然下の方に属しているんだろうなと感じた。
2022/07/18
カブ
フリーライターの藤間は、日本でいちばん天国に近い島と言われている「志手島」で繁殖しているらしい巨大カマキリを追って島に渡る。物語は中盤から加速し、後半は目が離せなくなる。怖いのに読まずにはいられない。
2022/04/11
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