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夢見る帝国図書館 (文春文庫 な 68-4)

夢見る帝国図書館 (文春文庫 な 68-4)

夢見る帝国図書館 (文春文庫 な 68-4)

作家
中島京子
出版社
文藝春秋
発売日
2022-05-10
ISBN
9784167918729
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夢見る帝国図書館 (文春文庫 な 68-4) / 感想・レビュー

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rico

上野公園で出会った風変りな老婦人、喜和子さん。彼女が大切にしている帝国図書館とその記憶。そいて数10頁ごとにはさまれる、その帝国図書館自らが語っているらしき物語。かろやかに自由に生きているかに見えた喜和子さんの人生は、戦中戦後を生き抜いた多くの人々がそうであるように平穏とは程遠くて。帝国図書館の歴史もまた苦難に満ちている。それでも本との出会いに心震わせた多く人々の喜びは、時代の闇を吹き払う光であり力。喜和子さんもそうして背を押され走り始めた。物語は余韻を残し静かに閉じていく。もう少しこの夢の中にいようか。

2022/07/09

エドワード

何とも重層的な物語だ。中島京子さんらしき「私」は、上野公園で白髪の女性・喜和子と出会う。彼女は私に「上野の図書館が主人公の小説を書いて欲しい」と話しかける。図書館。今、私たちの最も身近に存在する文化施設が日本に生まれたのは、わずか百年余り前だ。図書館の歴史は、日本の近代史そのものだ。そして、次第に明らかになっていく、終戦直前に生まれた喜和子の驚くほどドラマティックな人生。図書館を支えた多くの人々、喜和子をめぐる様々な人々。時空を越えて、二つの近代史が胸を打つ。真理が我らを自由にするところ。それが図書館。

2022/05/20

佐島楓

ひと一人の人生と上野という土地、そして戦争、図書館の歴史と盛りだくさんな内容。女性が戦後を生き抜くだけでも大事業なのに、そのほかの取り上げられているテーマも重く、大きい。現在の国際子ども図書館のみならず、図書館の歴史に興味があるかた、戦後直後の混乱期について知りたい方に応えてくれると思う。文庫解説は京極夏彦氏。

2022/05/26

優希

面白かったです。図書館メインの物語と思ったら家族の話がメインでしたけれども。図書館が恋をするという空気の物語が家族の話の中にちょこちょこ盛り込まれている作品でした。2つの物語が共鳴し合いながら紡がれる世界に引き込まれます。日本初の図書館と戦争を生き抜いた女性のパラレルワールドストーリーと言っても良いでしょう。

2022/10/18

NAO

帝国図書館にゆかりのある人物たちを絡めた帝国図書館の歴史の部分と、何やら上野の図書館にひどく思い入れがあるらしい喜和子の生涯が交互に描かれるという構成の物語。図書館の歴史の部分に登場する有名人は、福沢諭吉や永井荷風の父親といった帝国図書館のために奔走した人々と、樋口一葉、淡島寒月、幸田露伴、吉屋信子、宮本百合子等々図書館を利用した著名人たち。この図書館の歴史の部分が、とにかく面白かった。

2023/03/22

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