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朝が来る (文春文庫 つ 18-4)

朝が来る (文春文庫 つ 18-4)

朝が来る (文春文庫 つ 18-4)

作家
辻村深月
出版社
文藝春秋
発売日
2018-09-04
ISBN
9784167991333
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「リアリティがすさまじい」 特別養子縁組を描いた辻村深月の小説『朝が来る』を監督・河瀨直美が映画化!

『朝が来る』(辻村深月/文藝春秋)

 辻村深月の小説『朝が来る』の映画化が決定。監督は映画「あん」「光」などの河瀨直美が務めるとあって、「このタッグで何が生まれるのか目撃したい」「絶対に映画館で見よう」と歓喜の声が相次いでいる。

 辻村は、『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』など数多くのヒット作を生み出し続ける人気作家。2015年に発表した『朝が来る』は、子どもに恵まれなかった夫婦と望まない妊娠をした幼い母を巡る物語だ。

 武蔵小杉のタワーマンションに住む夫婦・栗原清和と佐都子は、長い不妊治療の末に特別養子縁組という道を選択。養子となった男の子に「朝斗」と名づけ、ごく普通の親子として生活してきた。朝斗が幼稚園に通いだしたころ、栗原家に「子どもを返して欲しい」と要求する電話が。その後「片倉ひかり」を名乗る女性が家まで訪ねてくる。ひかりは朝斗の産みの親の名前で、中学生の時に彼を出産した少女。しかし家に現れた女性には、夫婦の記憶の中にある彼女の面影はなかった――。

 産みの親と育ての親を繋ぐ物語は、「ミステリー感のある展開に引き…

2019/6/7

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朝が来る (文春文庫 つ 18-4) / 感想・レビュー

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ろくせい@やまもとかねよし

幸せを表現する「朝が来た、と。」が心に残る。大人と子供がともに時間を共有することで成立する親子関係。それ以上でも、それ以下でもないはず。幸福な親子に普遍的な成立過程などないと訴えるか。親子に血縁が不可欠だろうか。親にある程度の学歴が必要だろうか。子に両親は一人ずつでなくてはいけないだろうか。これらを是とする社会規範は必要。しかし、同時に仕様もない理由で社会規範を外れる事情の寛容も必要だと表現する。幸福感には、誠実に生きる他者を見つめ、それに寄り添う利他性の必要を感じた。終盤の「一緒に行こう」も心に残る。

2020/07/15

さてさて

これまでの道のりがどんなに暗くても、どんなに長くてもきっと夜は明ける。そして必ず朝が来る。本来交錯するはずのなかった産みの母と育ての母、子どもを作りたくても作れなかった女性と、子どもを作る気など全くなかった女性の人生が交錯する物語。『朝斗』と『ひかり』、運命的な名前に結びつけられた二人だからこそ、きっと輝く未来が待っている。少しアッサリとしたエンディング、でもそうだからこそ、読み終わって逆に大丈夫、これで未来に続いていくんだと感じさせてくれたこの作品。『普通』に生きていく難しさを感じた、そんな作品でした。

2021/11/25

三代目 びあだいまおう

その瞬間危うく号泣!涙なしには読めません。様々な事情により『生みの親が育てられない子供』その子供を家族として迎え『自分の子として育てたい』夫婦を繋ぐ制度、それが特別養子縁組制度。実親との親族関係はなくなり戸籍上も『育ての親の実子』と認められる。本作は、生みの親からの突然の電話『子供を返してほしい』から始まり2人の『母親』の人生を描く。あまりのリアリティーと登場人物達の苦悩が伝わり作品世界にのめり込む。虐待や育児放棄問題は後を絶たず、いわゆる『望まれない子供』は少なくない。ひとつの貴い家族の形である‼️🙇

2020/03/24

bunmei

「子どもは親を選べない。しかし、望まれないで、この世に生を受ける子どもなんて居ないはず・・・」今の世の中の問題とも重なる、親と子の出産をテーマにした社会派ミステリー。子どもを生みたくても生めなかった母と、子どもを生んでも育てることのできずに手放すしかなかった母の両方の思いが葛藤し、親子の絆について、改めて問題提起しています。それぞれの家族が抱いている長く続く暗いトンネルの先に光を見出すものとは…。読んでいる内に、目の奥の方に、熱いものを感じてしまう感動作品です。

2019/04/02

hit4papa

養子を貰った夫婦と、その子を中学生で産んだ少女の物語です。本作品は、主人公が入れ替わり二つの流れを形成しています。養子の母の視点では、不妊治療のあれこれが、その子を産んだ母親の視点では、幼くして妊娠することのあれこれが、side-A、side-Bのように語られます。実母の視点の物語は、転落ものとしてスリリングです。追い詰められた悲痛さが、読者の心を揺さぶるでしょう。里親の視点の物語が、幸福を追求するものであっただけに落差が激しいのです。ラストはというと・・・随分、きれいにまとまってしまいましたね。

2020/06/12

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