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消えていく日に (文芸書)

消えていく日に (文芸書)

消えていく日に (文芸書)

作家
加藤千恵
出版社
徳間書店
発売日
2018-06-21
ISBN
9784198646349
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消えていく日に (文芸書) / 感想・レビュー

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いつでも母さん

今日も明日も全て大切な1日ーそうですよね、そうなのよ。眠りにつく前に「あゝ、今日もなんとか過ごした。」そう思える事がどれだけ幸せな事か・・加藤千恵が紡ぐ9人の女性の『ひとり』のある日ある時を切り取った短編集。それぞれが思うあれこれが、振り返るとほんの少しは自分も感じて来たことだったような・・切なくて苦しい事もいつまでもそのままじゃない。そんな事を思わせてくれる感じだった。好みは『夏の飛びこみ』『ハグルマ』『二十七歳』『新しい干支』

2018/07/18

短編集。加藤さんは普段の生活に普通にありそうな出来事を切り取って、孤独感だったり前を向いていこうとする決意だったりを描くのがうまい。『あーこんなシチュエーションある!』と思うような行き違いや歯車の狂い、もはや過去の出来事になり思い出と化した己の記憶も呼び起こされて登場人物に共感しました。最初の話以外は割と切ない。

2018/07/10

風眠

きっと数ヶ月後には忘れてしまう、これはそんな物語だと思う。けれどこれは褒め言葉。誰もが経験する心の揺らぎ。当たり前過ぎて印象に残らず忘れてしまうだろう物語は、だからこそ、いつ手に取っても心に寄り添ってくれるのだとも言える。恋が始まって、恋が終わって、はらはらと涙流す夜を越え、そうしていつか薄らぎ消えてゆく感情。時にその感情の欠片が、日々の暮らしにさざ波をたてる事があっても、チリッとした痛みごと思い出にたゆたえば、それでいい。永遠はない。だからこそ日々は消え去ってゆき、そしてまた、かけがえのない日々になる。

2018/08/10

ででんでん

ざあざあと音をたてて、流れて消えていく日々のほんの少しを切りとって、手渡してくれる短編集。「返信を待たない」がよかった。「わたしが見ている景色と、夫が見ている景色は、同じように見えて、ずいぶん違う」。記念日に無頓着、わたしが落ち込んでいても、苛立っていても、さほど気づくことがない…いるいる、すぐそばにそのとおりの奴が。余談だが私は娘に言われたことがある。「お父さんにサプライズとか期待してもあかんから」。支離滅裂になってきたが、自分で「ハグルマ」を動かすために歩いていこう‼いつかは必ず消えていくのだから。

2018/12/23

yuyu

消えていく、去っていく…失った喪失感がテーマの短編集。悲しみ、落ち込み、なかなか立ち直れない「女性」、いや、ここに登場するのは「女子」だな。どの編も明るくはないのだが、ずしんとくる重さはない。そのせいか、淡々と読み進められる。しかし、心の奥底はそんなものではないんだろうなぁ。「返信を待たない」と「消えていくものたち」が好き。私の今までの人生の中で、失って一番は辛かったのは…なんだろう、うーん。

2018/08/20

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