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愚か者の身分 (文芸書)

愚か者の身分 (文芸書)

愚か者の身分 (文芸書)

作家
西尾潤
出版社
徳間書店
発売日
2019-09-28
ISBN
9784198648961
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話題の作家を生み出す大藪春彦新人賞! 赤松利市「後輩と潰し合いがしたい」×西尾潤「罪を犯してしまう、その気持ちが知りたい」

 実体験をベースにしたという衝撃作『ボダ子』をはじめ、『鯖』『純子』『らんちう』と、実にさまざまな話題作を生み出し続けている作家・赤松利市さん。9月末には、セクシュアルマイノリティの“老い”をテーマにした『犬』を上梓し、その過激な内容がまたしても物議を醸している。

 そんな赤松さんがデビューするきっかけとなったのは、2018年に創設された「大藪春彦新人賞」だ。応募作『藻屑蟹』は原発の除染作業員を主人公とした物語であり、淡々とした語り口で、人間の欲望や醜さを描ききった。以降の活躍ぶりは言わずもがな。デビューしてまだ2年ほどにもかかわらず、ハイスピードで次々と作品を生み出している。

 そして、同賞から二人目の作家が誕生した。それが『愚か者の身分』でデビューを果たしたばかりの西尾潤さんである。

 本作のテーマとなっているのは、「戸籍ビジネス」。社会の最下層で蠢く半グレたちを主人公に、彼らの闇や一筋の希望を描いている。選考委員からは「突き抜けた何かがある」と評価された西尾さん。デビューしたばかりだが、赤松さんのように文壇で活躍することは想像に難くない。

 そこ…

2019/10/26

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愚か者の身分 (文芸書) / 感想・レビュー

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しんたろー

西尾潤さん初読み。読友さん数人が絶賛で、赤松利市さんを輩出した大藪賞受賞作なので期待して読んだら…なるほど、粗削りながら今を捉えた内容と疾走感ある展開でグイグイと読まされた。5章に分けて5人の視点で一つの事件を描いた物語が好みの群像劇になっているのが楽しめた大きな理由。社会からはみ出した主人公たちなのに何故か親近感を持てるキャラになっているのもイイ!脇役たちも曲者揃いで、台詞も巧く、褒め過ぎを承知で言えば「日本版パルプフィクション」になる素材で、単館映画用に映像化されそうな気がする。第2作目も期待したい♬

2020/11/04

みっちゃん

さすが大藪春彦新人賞。第一回の赤松利一さんの「藻屑蟹」に続いてこんな凄い作品を世に出していたとは。選評で酷評されている文章云々といった難しいことは私にはわからない。ただ私にはこの文章は「生きてる!」ってすごく感じた。章ごとに移り変わる視点の人物が目の前にいて、その息遣いまでが感じられるような気がした。闇に蠢く戸籍ビジネスの話だから出てくるのは後ろ暗い者ばかりだけど、彼らの「とにかく生きていく」という本能、欲に圧倒された。投稿時の第1章の結末と全編読み通した結末の印象が全く違うのも面白い。

2020/11/04

散文の詞

一話毎に、視点が変わってるので、短編集を読んでいるような感じでした。 しかも、最後には、それをまとめたような結末です。 この構成も面白いし、荒削りな文書は、登場人物のヤサグレ感が出てて、とてもよかったです。 坂道を下るように最悪な方向に進むのかと思ったら、暗い題材ながら、最後は清々しささ覚える感じで、いい意味で裏切られました。 だからではないでしょうが、ちょっと短いかな。 まだまだ、何かあってもいいような。

2022/02/14

モルク

金に困り戸籍を売る者、事情があり戸籍を買う者、そしてその戸籍売買を行う半グレ集団。それらに関わる人の連作短編集。見寄がなく一人暮らしで金に困っている人にSNSで近づき言葉巧みにちょっとの間借りるだけと戸籍を売らせる。罪の意識もなく小銭稼ぎから始まり組織から抜け出せなくなる。皆どこにでもいる普通の若者たち、そしてどこか憎めないいいやつ。しかし次第にそのぬかるんだ深みにはまる。テンポよくサクサク読める。タクヤ生きろ!マモル流されるな!おもしろかった。このドピンクの表紙は…

2020/12/29

ずっきん

うひゃあ、面白かった♪ 戸籍ビジネスをシノギにする半グレ達。売ったヤツら、売らせたヤツらの逡巡や悔恨の軽いことったらこの上なく、ダラダラとしたその生き様は青臭く、そしてたくましい。いやもう、読ませるわー。なんか色々投げっぱなし感は、連作短編の群像劇だったからか。残りページこんだけだけど、着地どーすんの!?って最後まで気づかなかった(笑) その辺りが選評でも容赦なく叩かれてた、文章力とか構成とかのマズさなんだろうか。でも、そんなのブチ抜く勢いがある。クライムエンタメが好きならば、これを読まない手はない。

2020/10/21

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